他人の唐揚げにレモンをかけたら犯罪? 身近な質問に人気YouTuber弁護士が法律知識とともに回答!

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公開日:2023/10/28

おとな六法
おとな六法』(岡野武志、アトム法律事務所/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

 私達の生活は法律によって成り立っている。にもかかわらず、法律とは難しくてよく分からないものだと思ってしまっていないだろうか。そんな人でも楽しく法律について学べるのが『おとな六法』(岡野武志、アトム法律事務所/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))だ。

 著者の岡野武志氏はアトム法律事務所の代表でありながら「質問来てた!」から始まるショート動画で人気を博すYouTuberでもある。学校や会社など身近な話から、アニメやゲームの世界の出来事まで、法律的にはどうなのかを解説してくれる本書。その中から思わず誰かに話したくなる「これって罪になる?」を3つ紹介。

ウルトラマンが街を守るために破壊するのは、罪?

 人々を助けるために怪獣と戦うウルトラマン。激しい戦いの中、街がかなり破壊されることもある。地球を守るためとはいえ、これは罪にはならないのだろうか?

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 正解は、「罪にならない」。街を壊すことで問われる可能性があるのは「建造物損壊罪」。しかし、差し迫った危険を避けるため、やむを得ない場合は「緊急避難」にあたる。そのため、罪には問われない。ウルトラマンが戦わなければ、怪獣による被害が大きくなっていたと考えると、この戦いは緊急避難だと言える。よって、ウルトラマンは無罪なのだ。

 だが、怪獣に危害を加えることが別の罪になる可能性がある。人々を守るためとはいえ、必要以上に怪獣を痛めつけては「過剰防衛」になってしまうのだ。怪獣のお母さんが出てきて損害賠償を求めてきたら、ウルトラマンには多額の支払い義務が生じる可能性があるという。ウルトラマンシリーズの中にそんなエピソードがあったらおもしろそうだ。

人の唐揚げにレモンをかけるのは、罪?

 居酒屋メニューでお馴染みの、レモンが添えられた唐揚げ。好みが分かれることから、「唐揚げに勝手にレモンをかけるのは犯罪だぞ!」なんて冗談があったり、なかったり。法律的に「人の唐揚げにレモンをかける」のは、犯罪になり得るのだろうか?

 正解は、「犯罪になるケースもある」。例えば、唐揚げを買ってきた人に重度のレモンアレルギーがあって、「絶対にかけないで」とあらかじめ言われていた場合。自分で買ってきたものなのに、唐揚げを食べられなくなってしまうため、勝手にかけた人は「器物損壊罪」となる。

 また、アレルギーの人がいるのに、こっそりレモンをかけてアレルギー症状が出た場合も、「傷害罪」が成立する。もし亡くなってしまえば、「傷害致死罪」「殺人罪」となる可能性もあるそうだ。唐揚げにレモンをかけるときは、どんな場合でもひと言声をかけてから。みんなで安全に美味しくいただこう。

弁護士になりすましたら、罪?

 弁護士になるには、司法試験に合格し、司法修習という1年に及ぶトレーニング期間を経て、日本弁護士連合会に登録する必要がある。この手順を飛ばして、自分は法律に詳しいからと弁護士になりすましたら、犯罪になるのだろうか?

 正解は当然ながら「犯罪になる」。まず、資格を持たない人が弁護士だと偽ると、それだけで勾留、または科料(1000円以上1万円未満の支払い)となる。さらにこの偽りを何らかのサイトのプロフィールなどで標示した場合100万円以下の罰金。資格が無いのに裁判の代理人をする、法律の相談を受けてお金をもらうなど、弁護士のような活動をすると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金だ。

 実際、ある暴力団員が組長に面会するために偽物の弁護士バッジを付け、サインも偽造して拘置所に行き、逮捕されたという事例もあるそう。どんな理由があっても、なりすましは犯罪。決して考えてはいけないことだ。

 本書には、YouTubeに寄せられた質問の中から選りすぐりの100問が掲載されている。すべてQRコードが付いていて、読み込むと実際の動画をすぐ見ることが可能だ。アニメ、ゲーム、会社、学校など、テーマ別に章が分かれているので、興味あるところから読んでみよう。

文=冴島友貴