好きな人の好きな人に会いに行ったら、その人の思い人が実は――!? ちょっと変わった三角関係が巻き起こす、笑えて切ないラブコメディ!
PR 更新日:2023/11/2
恋をして、そのまま両想いになって結ばれればもちろんそれが一番いい。だが、そううまくいかないのが現実だ。そして時に、思いもよらないところで縁が繋がっていたり絡み合ったりする。『ぼくの好きな人が好きな人』(葵せきな:原作、つづら涼:漫画、/白泉社)は、『生徒会の一存』(葵せきな:著、狗神煌:イラスト/KADOKAWA)などで有名な著者が手掛ける、「好き」という気持ちからさまざまな混乱が巻き起こる三角関係ラブコメディ。
本作品は、主人公・秋月奏良が3年間片思いを続けてきた後輩・不破美夜に告白し、振られるところからスタートする。
教室で「死にたい」と沈む秋月だったが、クラスメイトである美夜の姉・不破真昼によって、美夜にずっと思い続けている相手がいると発覚。気になった秋月は、早速その先輩・涼風朝陽がいるという部活「治験部」の部室へ向かったが。そこで奇妙な着ぐるみを着た、血まみれの包丁を持った謎の人物に遭遇。そしてなんと、その人こそが涼風先輩だった。
部活の一環として試着した着ぐるみが脱げなくなり困っていた涼風先輩を助け、秋月は恋愛指南をしてもらうことを条件に治験部へ入部。ここから、秋月と涼風先輩の関係が始まる。秋月は変わらず美夜が好きだし、涼風先輩は幼いころに自分を救ってくれた少年を思い続けている。そのため秋月と涼風先輩の仲が進展することはないはずだが、しかしなぜか、それを知った美夜は慌て始めて――!?
実は秋月は、幼いころ入院していた弟のお見舞いに行った際、隣の病室の女の子が薬を飲まずにいたのを見て、「俺が元気なら副作用なしってことで文句ないッスよね?」と自らその薬を飲んだことがある。その女の子が涼風先輩で、つまり彼女の思い人は秋月だったのだ。2人はそのことに気づいていないが、一部始終を見ていた美夜は、2人の関係を知っている。そのため、2人の距離が近くなればいずれ――と不安を募らせていく。
好きな人と結ばれて幸せになりたいという思いと、好きな人の気持ちを尊重したいという思い。本当に好きだからこそ、その2つの心に挟まれて苦しむ美夜。なのに、当事者であるはずの2人には状況がまったく見えていない。互いに自分の思い人を思いながら、日々部活に勤しんでいる。この絶妙な距離と、いつ気づくのかというドキドキ感がたまらない。治験部の活動の一環で涼風先輩が惚れ薬を飲み、続いて秋月が飲むシーンでは、そういうことか! そりゃあそうなるよね! とこっちがテンション上がってしまった。
1巻後半では、イケメンなのに残念な主人公の友人・神永も、関係ないのに三角関係に巻き込まれていく。
こんな偶然があるのか。どうしてそうなった。話が進むにつれて一層ドタバタ感が増していく本作だが、1巻ラストではついに――!? 一度読み始めれば、複雑に入り組みながらもテンポよく進んでいくストーリー、個性的なキャラクターたちのわちゃわちゃしたやり取りがクセになること間違いなし! 彼らの、彼女らの関係は、ここからどうなっていくのだろう。
©葵せきな・つづら涼/白泉社
文=月乃雫