森永卓郎さんに聞いた!毎週200円の宝くじを買って夢を見る私は甘いですか?/モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!③
更新日:2024/10/7
Q.上司を見ているとうちの会社、どうやら給料の上昇にも限界があるようで、明るい未来が見えないです。そこで、①いつか当たると人生がひっくり返るという夢を抱くため、②買わなければ当たらない、③月に1000円出すだけ、という理由で、毎週200円の宝くじを自動購入しはじめました。心理的にもいつか報われるかも、と思えると救われるような気がします。この考えは甘いでしょうか?(A、30代、派遣社員、女性)
自分で稼いだお金は自分のもので、それを何に使おうと他人が口を出すべきではないと、私は考えています。だから、毎月1000円の宝くじを買うこと自体が楽しくて、それが生きがいにつながるのであれば、何の問題もないと思います。ただ、高額当せん金が目的だということであれば、少し考えたほうがよいと思います。宝くじの高額当せん確率というのは、とても低くて、例えば1等賞金1億円の200円くじの場合、1等が当たる確率は1500万分の1です。つまり毎週200円の宝くじを買って、1等が当せんするのは31万2500年に一度という計算になります。31万年前というのは、現在発見されている世界最古のホモサピエンスの頭蓋骨の年代です。
もちろん、そうした確率でも、当せんする人はいるのですが、私は当せんしたときのほうが怖いと考えています。高額当せんしたことが世間に知れると、なぜか遠くの親戚が現れてきたり、突然友人が増えたりします。見ず知らずの人もどんどん近づいてきて、彼らから借金の申し入れや出資の誘いがやってきます。富裕層だけが参加できる投資グループへのお誘いもきます。さらには、飲食の誘い、ゴルフの誘い、パーティーの誘いなどで、お金がどんどん出て行って、1年足らずのうちにお金は消えてなくなってしまいます。そしてお金が消えると同時に、たくさんいた友人や親族は、蜘蛛の子を散らすようにいなくなります。
繰り返しになりますが、どんなことにお金を使うのかは、その人の自由ですが、もし私が毎月自由にできる1000円のお金があったとしたら、プランターと培養土と花か野菜の種を買ってきて、育てます。芽が出て、成長して、花が咲いたり、収穫できたりするところまで持っていけたら、とても楽しいし、生きがいにもつながると思います。自分にとって何が楽しいのか。もう一度見つめ直してみたらいかがでしょうか。
<第4回に続く>