累計200万部突破の、心を語るマンガ『ブッタとシッタカブッタ』シリーズ新作が、12年ぶりに登場!「悩み」や「不安」をほぐす方法とは?

マンガ

公開日:2023/11/8

 その歴史は1993年から始まった。小泉吉宏氏による『ブッタとシッタカブッタ」シリーズ。今年で30周年を迎えた節目に、シリーズ最新作『ブッタとシッタカブッタ いのちのオマケ』上下巻が刊行される。発売日は2023年11月21日(火)で、前作から実に12年ぶりの新作だ。

ブッタとシッタカブッタ

 同シリーズは、累計200万部を超える人気コミックエッセイ。愛らしいブタのシッタカブッタが道案内役のブッタから与えられたヒントを元に、自らの生き方を見つめ直していくマンガだ。精神科医や心理学者の間で話題になり、病院の待合室、学校の保健室に置かれるようになり、それがきっかけでベストセラー、ロングセラーになった。昔読んだ記憶があったり、道徳の教科書で知っていたり、目にしたことのある人も多いのではないだろうか。

ブッタとシッタカブッタ

 このシリーズには、自分の心がストレスや悩みに振り回されないように、生きるための“ヒント”が詰まっている。SNS上には「かわいい絵と4コママンガのなかに、考えさせられる部分や気づきがあってすごく内容が深い」「自分を見失いかけた時、これを読むとホッとする」「よくある自己啓発本とも違う。ものすごく考えさせられた」などの反響が相次いでいた。SNSのない時代には、5歳から95歳まで老若男女問わず、数万人からファンレターやはがきが届いていたという。

advertisement

 2011年に刊行された『ブタのみどころ』を最後に、新刊が途絶えていた『ブッタとシッタカブッタ』シリーズ。著者は「8作でほぼ全て描き切ったつもりで、もう描かないつもりでいたが、1つだけ気になっていたことがある」という。それはシリーズを通して語っていた「そのまんまいい」という言葉が「無気力でいい」「何もしなくていい」と言っているように受け取られてしまう可能性があること。何かに抗いたければ抗うことが「そのまんま」で、私たちには内側から湧いてくるエネルギーがある。「人生に気づくと自然と笑いが生まれ、エネルギーが見えてくる」と小泉氏は言う。12年の時を経て発売される『ブッタとシッタカブッタ いのちのオマケ』は私たちの「思い込み」と、「笑い」と「エネルギー」を巡って語られる。

ブッタとシッタカブッタ いのちのオマケ 下
(下)より

 新作でもシッタカブッタたちは、いつものように悩みに直面して行く。柔らかいタッチで描かれた4コママンガは、現代人が抱えている悩みに通じるものばかり。たとえば上巻収録の「すごくうまくいくはず」と言うタイトルのマンガには、順調な恋愛を謳歌するサラリーマン風のブタが登場する。「大事な話がある」とパートナーから呼び出され、ウキウキ気分で待ち合わせ場所に向かうと「スキだと思ってたんだけど、わたしのカンちがいだった」と思いっきりフラれる。相手が同じ思いでいるとは限らないという、なんとも切ないエピソード……。あたりまえのことだけど、当事者になるとあたりまえが見えなくなるもの。それがこの本には満載である。

 他にも「価値は思い込み」「尊敬と嫉妬」「もっとスゲエやつ」「苦労とムダ」「疑いが止まらない」「信じすぎる者は」「イヤな気持ちを解消する」「カンタンになれる幸不幸」「全体を見ないブタ」など、ユーモアたっぷりに人生の問題を突きつけ、考えさせてくれる。

ブッタとシッタカブッタ

ブッタとシッタカブッタ
(上)より

 同書でブッタは「ものの見方がこりかたまると、心の筋肉は悩みや不安でかたまってしまうぞ」と諭しているのだが、では心の筋肉を柔らかくするにはどうしたらいいか。そこで著者は前出の「笑い」が必要であると説いている。人生に気づくと湧いてくるのは笑い。また「笑い」が心の筋肉を柔らかくして、人生に気づいていくと言う。

 ここには数々のブタの失敗エピソードが描かれているが、似たような経験をしたと感じる読者も多いことだろう。それを笑うことで自分が見つかり、内から湧いてくるエネルギーを見つけられる。

 現代社会を生きる私たちに寄り添う『ブッタとシッタカブッタ いのちのオマケ』。キュートなブタたちの姿を通して、自分の思考や人生を見つめ直すきっかけにしてはいかがだろうか。