直木賞作家・今村翔吾さん、佐賀駅に書店を12月開店。「愛される“町の書店”に」

文芸・カルチャー

公開日:2023/11/9

今村翔吾さん
新たに手がける「佐賀之書店」への思いを語る今村翔吾さん (写真/金澤正平)

 直木賞作家の今村翔吾さんが2023年12月3日(日)、JR佐賀駅構内に書店「佐賀之書店(さがのしょてん)」をオープンする。店長を務めるのは“カリスマ書店員”として知られる本間悠さん。佐賀駅には「積文館書店佐賀駅店」があったが、2020年3月に閉店。以前から書店の復活を望む声が多かったという。

 今村さんは2021年に、経営危機だった書店「きのしたブックセンター」(大阪府箕面市)を引き継ぎ、オーナーを務めている。今村さんが書店を手がけるのは「佐賀之書店」が2店舗目となる。

佐賀之書店
「佐賀之書店」の店舗イメージ (画像提供/テナント工房)

「いつか何らかの形で恩返しを」一度はなくなった駅ナカ書店を再び

「きのしたブックセンターを継承して以降、書店再建のオファーをたくさんいただくようになりました」と今村さん。「それらの中には、『ただ時限爆弾を手放したい』というような、正直あまり前向きではない理由からの相談も少なくありませんでした。一方で、地元の人に愛されている、なくしてはいけない“町の書店”が苦境に立たされているケースも少なくありません」

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 今村さんは2016年に「九州さが大衆文学賞」で大賞を受賞し、選考委員だった北方謙三さんの目に留まったことがきっかけで作家デビューに至った。そうした経緯から「佐賀という地への想いは人並み以上に深いと思っております。いつか何らかの形で恩返ししたいということも以前から考えておりました」とコメント。

「今回の出店は、佐賀駅から一度はなくなってしまった書店の復活を望む声に対して、自分なりにできることを模索した結果たどり着いた答えです。事業承継 ではなく新規の出店とはなりますが、『佐賀之書店』も愛される“町の書店”になってほしいと願っています」と語っている。

佐賀之書店
「佐賀之書店」を開店する経緯を綴った今村翔吾さんの趣意文

 店長を務める本間さんは11月1日にX(旧Twitter)を更新。「『ありがとう』と言葉で伝える以上に、【佐賀之書店】で、一冊でも多くの本を、一人でも多くの皆さんに手渡してゆくことが、私の使命だと思っています」と意気込みを語った。

佐賀之書店
カリスマ書店員・本間悠さんがX(旧Twitter)に投稿した文章

 オープン初日の12月3日(日)は今村さんが一日店長を務め、2020年と2023年の2度、本屋大賞に輝いた凪良ゆうさんのトーク&サイン会が催される予定だ。

店舗概要
開店日時:2023年12月3日(日)11時
営業時間:10~20時
定休日:なし
所在地:佐賀県佐賀市駅前中央1丁目11番20号