部下に対する口調は「丁寧語」が鉄則! 相手の呼び方にも気をつけて/部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです
公開日:2023/11/19
新卒の約30%が3年以内に離職する時代。厳しくしたらいいか、優しくしたらいいか…。最近の若手社員のことがよくわからず、接し方に悩んでいる方は少なからずいるはず。
日頃から「どうすれば若手社員に火がつくか」と考えている、最近の若手は「自分から動こうとしない」と思っている、若手と仲良くなるために「趣味の話」から入っているーーそんな上司の方はいませんか? 実は、これらはNGです。
若手社員育成専門コンサルタントである著者の伊藤誠一郎さんが、最近の若手部下の「傾向」と「対策」を教えます。いかにやる気を出して仕事に取り組ませるか、声のかけ方・動かし方・伸ばし方を解説! この本で若手を変えるのではなく、上司である自分を変えていきましょう!
※本作品は『部下に「困ったら何でも言ってね」はNGです 若手社員は「肯定」と「言語化」で自ら動き出す』(伊藤誠一郎/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました
タメ口ではなく、部下にも丁寧語で話す
言葉づかいで上下関係を示す必要はない
以前、上司と部下とのこんなやりとりを目撃したことがあります。
課長「 おいおい、おまえに先週指示したデータの件はどうなった? 明日までにはちゃんと用意しろよ! 大丈夫だよな?」
部下「はい、大丈夫です! 明日提出できます!」
何気ない職場でのやりとりかもしれませんが、大きな問題があります。それは言葉づかいです。
この上司のような言葉づかいをしていると、権力的な上下関係をつくり出してしまいます。その結果、部下は上司からの指示や命令に一方的に従う受動的な姿勢をとらざるを得なくなります。
また実態はさておき、言葉づかいから上は優れていて下は劣っているという構図になりやすく、部下に萎縮や遠慮といった気持ちを抱かせてしまいます。それが、最近の若手社員が上司や先輩になかなか質問や相談できないことにもつながっています。
さらに、ぶっきらぼうな口調だと、若手に仕事を教える際にどうしてもきつい言い方になりがちです。上司にはその気がなくても「ちゃんと用意しろよ!」「大丈夫だよな?」といった声のかけ方をしていると、部下にパワハラと思われてしまう危険性もあります。
そこで、言葉づかいから変えます。具体的には、上司は部下に対しても丁寧語を使ってください。
まれに勘違いをする人がいますが、お客様に使うような尊敬語や謙譲語を使うわけではありません。あくまで「です」「ます」「してください」「しましょう」という丁寧な言葉づかいにします。
冒頭の例で言うと、「データの件はどうなった?」「大丈夫だよな?」ではなく、「どうなりましたか?」「大丈夫ですか?」という言い方にします。
また、「ちょっといいですか?」「今時間ありますか?」と部下の都合に配慮を示す言葉をかけると、より丁寧な対応となります。
呼び方や口調ひとつで、相手に対する態度がわかる
若手社員の呼び方にも気をつけましょう。じつに基本的なことですが、意外にも見落とされているケースが目立ちます。
今の時代でも、まれに上司が若手を「おまえ」「おまえら」などと呼び捨てている光景を目にすることがありますが、これは論外です。若手社員を家来か奴隷のように扱っているとしか思えませんから厳禁です。
では、どう呼ぶか。若手に声をかけるときには「斉藤さん」「鈴木さん」と必ず名前で呼ぶようにしてください(会社によっては「くん」づけ、ニックネームで呼ぶケースもあるかもしれません)。そして、若手社員全体に呼びかけるときには「みなさん」という言い方にします。
第一声に気を配ることで、自然とおだやかな口調で物事を伝えることができるようになります。
また、命令口調で言わないように意識することも大切です。
上司から若手への「社会人の自覚を持て!」「やるべきことをやりなさい!」といった吐き捨てるような言葉からは、若手社員と協働する意識など微塵も感じられません。
では、どう伝えるか。「社会人の自覚を持ちましょう」「やるべきことはしっかりやりましょう」と同じ仲間として呼びかける言葉を使うと、彼らを信頼しているという思いも伝わります。
社会人として成長してもらいたいわけですから、若手社員を1人の大人として扱わなければなりません。言葉の入りとして呼びかけ方や語尾に気を配ることだけでも、若手に冷静かつおだやかに接することができるようになります。
言葉づかいひとつで、品性のある職場に変わります。若手社員の萎縮や遠慮がなくなり、質問や相談が活発になってきます。あからさまな主従関係が解消されることで、若手社員を1人の人間として認める適切な距離感が生まれます。
「です」「ます」「してください」「しましょう」で品位のある職場を目指す