「あなたのためを思って…」お節介を適当にあしらう技術。他人の言葉に振り回されないスルーするテクニックとは
更新日:2023/12/12
突然だが、あなたは次の項目にいくつ当てはまるだろうか。
▢言葉には真摯に耳を傾けなければならない、と考えている。
▢言葉をスルーすると自分の評価が下がる、という恐れをもっている。
▢他人が怒っていないか、気分を害していないかが気になる。
▢なにかあるとすぐに自分が悪いと思ってしまう。
▢他人から指摘を受けたら反省し、自分を改善、向上させなければいけないと考えている。
実はこれ、『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』(みき いちたろう/フォレスト出版)によると、「他人の言葉に振り回されやすい人の特徴」の一部であるそうだ。こういった人々は、学校や職場、SNSなどで他人の言葉に振り回され、それが深刻な悩みに結びつきやすい。本書いわく、「人の話を聞かなければならない」「人の言葉は重要だ」と思うのは当然のことであり、それは学校などで繰り返し教えられてきたから。つまり、「他人の言葉に振り回されやすい人」というのは、真面目で誠実な人という性質も含みがちである。
本書は、「他人の言葉に振り回されやすい」のは、根底に不安を抱いているケースもある、と説明する。例えば、「他人に自分を見抜かれているかもしれない」「自分だけが知らない盲点があるのかもしれない」「独りよがりと思われて見捨てられるかもしれない」といった不安である。このうち、特に「見捨てられ不安」は、心の悩みの要素として最も多いものの一つであるのだそうだ。
他人の言葉は、常に大切なのだろうか。本書は「必ずしもそうではない」と述べる。他人の「もっともらしい」言葉の裏には、時に、言った本人の不全感が隠れていることがあるそうだ。つまり、「あなたのためを思って…」という口ぶりに悪意を潜ませて他人に因縁をつけることで、不全感をもつ自分を満たそうとする場合がある、ということだ。
もし、あなたが特定の誰かの言葉に対し、「めんどくさい」「ややこしい」「おっくう」「怖い」といった感覚が湧くことがあれば、本書が紹介する「スルーする技術(スルースキル)」を使ってみるとよいかもしれない。
本書いわく、「スルーする技術(スルースキル)」の根底には、「自分の言葉を取り戻す」という考え方がある。言葉に対する主観を自分のものにすること…つまり、どの言葉を受け取り、どの言葉を受け取らないかを自分基準で判断する、ということだ。
そうはいっても、他人の言葉に対して、これまで反射的に対応してきたクセからはなかなか抜け出せない、という人もいるだろう。本書は、「言葉を“玄関先”“応接フロア”で聞く」というスキルを勧めている。
来客があった際、いきなり自室に入れるのではなく、まずは玄関、あるいは応接フロアで対応する、ということがある。このように、嫌な感じがする個人からの言葉に対しては、まず「玄関先で適当にやり取りする」という意識をもつ。また、その言葉が自分の身体の中に入ってきそうになれば、身体の外側に出す、という考えを大切にしてみるとよいらしい。そして、その言葉が捏造された事実ではないか、エビデンス(証拠)がしっかりとあるかといったチェックを施す。その上で、審査が通れば家(身体)に入れる。
もし、ここで審査が通らなければ「残念ですが、どうやらそれはあなたの“意見”“感想”でしかないようです。お引き取りください」と返すところをイメージする。これを繰り返すことで、他人の言葉に振り回されにくくなるそうだ。
これからのシーズン、クリスマス、忘年会、年末年始の帰省などで人とコミュニケーションをとるシーンが増えがちだ。自分の心を大切にしつつ、寒い季節を乗り越えて暖かい春を迎えたい。
文=ルートつつみ(@root223)