たとえば、しーさーさんにとって、一番思い入れがあるのは、野原工芸の「欅のシャープペンシル」。2015年に購入した当時は明るく白っぽかった木軸が、8年使い込んだ今ではコクのある茶色に変化してきたのだそうだ。使うたびに少しずつ色が変化していく様子は、木軸ペンならではの面白さ。また、野原工芸のペンは手にフィットしやすい流線形のボディで、使い心地も抜群なのだという。しーさーさんは学生時代、その書き心地に魅せられて、自然と勉強がはかどるようになったそう。そんな風に言われると、実際に試してみたくてたまらない。

　その他の木軸ペンも気になるものばかりだ。希少価値の高い木材の、一番いいところだけを使って仕上げられた工房 楔の「ペンシル楔」。しーさーさんが初めて買った木軸ペンであるパイロットの「S20」。ウイスキーの樽を生かした、三菱鉛筆（uni）の「ピュアモルト」シリーズ。1本10万円超えのスイスの超高級筆記具ブランド・カランダッシュの「バリアス」コレクションの「エボニー」シリーズ。

　一口に木軸ペンといっても、その種類はさまざま。「図鑑」というものは、どうしてこんなにも見る者をワクワクさせるのだろう。文房具好きとしては、ページをめくるだけでも何だか心が満たされてしまう。

　また、本書では、木軸ペン初心者のために、木軸ペンのメンテナンス方法をはじめとした基礎知識が紹介されているほか、しーさーさんのプライベートな内容とその時期に使用していた木軸ペンが分かる年表も掲載されている。その時々でどんなペンを使ってきたのかという系譜は、しーさーさんの歴史であると同時に、ペン選びの参考にもなるだろう。さらには、木軸ペン好きなら誰もが憧れる野原工芸と工房 楔との超貴重な鼎談特集も掲載。マニアックな内容を含むその特集は、それぞれの工房の特徴を知れるだけでなく、作り手がどんな思いを込めて木軸ペンを作っているのかも知ることができて面白い。木軸ペン初心者も、木軸ペン愛好家も、この本を読めば、ますます木軸ペンの虜になってしまうことだろう。

Amazon限定で販売している定規付き版『【Amazon.co.jp限定】しーさーの木軸ペン図鑑(定規付き)』にも注目だ。文房具マニアの中でも人気の「アルミ＆ウッド定規」が1本付いている。しーさーセレクトカラー（黒×ウォールナット）で木軸ペンとも相性抜群だ。

　さあ、木軸ペンの沼へようこそ！ 学生や木軸ペン初心者にもおすすめのペンから、仕事の気合いが入りそうなペン、マニアは絶対欲しくなる激レアなペンまで幅広く紹介されたこの本は、あなたの木軸ペン選びの助けになるはず。あなたも、この本でしーさーさんにならって、自分だけの一生モノを探してみてはいかがだろうか。

文＝アサトーミナミ