第6回「この音とまれ!」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本
更新日:2024/10/21
皆さんは音楽に心を動かされた経験がありますか?
私は何度かそんな経験があります。
そしてその中でも私が特に感動したもの。
それは私が小学生の頃に見た、中学校の吹奏楽部の皆さんの演奏です。
その吹奏楽部の方々は、とにかく楽しそうに演奏をされていたのが印象的でした。
荒削りだけれど、なぜだか心が奮い立つ。
心に突き刺さる。
そんな演奏を見た私は、もう目の前の演奏から目が離せなくなって、とんでもなく前のめりの体勢だったのをよく覚えています。
あの時の感動を思い出すと、今も胸が熱くなりますし、人の心を動かすのは理屈ではなくて魂なのかもしれないと感じるのです。
そして今日ご紹介する作品は、そんな魂で人の心を動かす演奏が沢山登場する「この音とまれ!」という作品です。
こちらの作品は和楽器の一つ・箏を題材にした学園漫画となっており、舞台は神奈川県の県立高校・時瀬高校の箏曲部です。
廃部寸前で部員が部長一人しか居なかった筝曲部に、今作の主人公である久遠愛、筝の家元の娘の鳳月さとわ、愛の友人の三人が入部したことをきっかけに様々な熱い物語が繰り広げられていくストーリーです。
そして今作の一番の見所は、映像作品ではなく漫画作品であるにも関わらず、ページから音が聴こえてくるような迫力のある演奏シーンの描写です。
特に作中で、時瀬高校以外にも様々な高校が演奏するシーンがあるのですが、その際にどの高校の演奏も本当に音が聴こえてくるかのような、各高校に沿った演奏シーンの描写がされていることが印象的でした。
ところで皆さんは筝の演奏と聞くと、どのようなものを思い浮かべますか?
また筝の音色というと、どのようなイメージがありますか?
私自身、今作に触れるまでは、
筝の演奏に対して、厳かな雰囲気の中で一音一音重厚感のある音が響き渡るイメージを思い浮かべましたし。
筝の音色に対しては、ボンヤリとこんな音かな?というイメージがあるだけでした。
そして筝はゆったりとした曲調の音楽を奏でる楽器というイメージもありました。
そのイメージは決して間違っているという訳ではありません。
ですが筝の演奏は予想以上に幅が広く多種多様でした。
今作に登場する筝の演奏曲はとにかく様々で、中には疾走感のある華やかな楽曲も多く、私の中の筝のイメージがかなり変化しました。
そして音色もとても鮮やか。
私のイメージしていた、ゆったりとした重厚感のある音色はもちろん、軽やかで煌びやかな音色もあり、初めて筝の演奏を聴いた際は本当に驚きました。
皆さんにも一度ぜひ聴いていただきたいです。