『白鯨』あらすじ紹介。巨大クジラと乗組員との壮絶な戦い! 片足を食いちぎられた船長の復讐の結末は…?
公開日:2023/11/24
『白鯨』という小説をご存じでしょうか。まだ捕鯨が盛んに行われていた頃のアメリカを舞台にした長編小説で、作者のハーマン・メルヴィルが捕鯨船の乗組員であった経験を活かして書いた力作です。今回は『白鯨』について、作品の解説と登場人物、あらすじをご紹介します。
<第95回に続く>
『白鯨』の作品解説
『白鯨』は、アメリカの作家ハーマン・メルヴィルが1851年に発表した長編小説です。「モービィ・ディック」と呼ばれる白いマッコウクジラを巡る船員たちの戦いの物語といえるでしょう。『白鯨』は長編なだけでなく難解な小説で、発表後すぐには評価されなかった作品です。しかし、徐々に評価が高まり、今日ではアメリカ文学を代表する名作に位置づけられています。
『白鯨』の主な登場人物
イシュメール:捕鯨船「ピークォド号」の乗組員。本作の語り手。
エイハブ:ピークォド号の船長。かつて白鯨に片足を奪われて以来、白鯨に対する復讐心を燃やしている。
スターバック:ピークォド号の一等運転士。用心深く実利重視の性格。
スタッブ:ピークォド号の二等運転士。楽天的な性格で、ユーモアに富む。
フラスク:ピークォド号の三等運転士。好戦的な、血の気の多い若者。
クイークェグ:ピークォド号の銛手で、イシュメールの親友。スターバックの捕鯨ボートにつく。
タシテゴー:ピークォド号の銛手。スタッブの捕鯨ボートにつく。
ダッグー:ピークォド号の銛手。フラスクの捕鯨ボートにつく。
『白鯨』のあらすじ
舞台は、アメリカが捕鯨を盛んに行っていた19世紀のアメリカ。イシュメールは、鬱々とした気分を晴らすために水夫として捕鯨船に乗り込むことに決めた。ニュー・ベッドフォードという街にたどり着いたイシュメールは、捕鯨の生まれた街といわれるナンターケットから船に乗りたいと思ったが、連絡船が出た後だったので、ニュー・ベッドフォードで夜を明かすことにした。
「鯨屋」という宿屋にたどり着いたイシュメールは捕鯨船「ピークォド号」の銛手であるクイークェグと知り合う。イシュメールとクイークェグは宿屋のベッドに同衾することとなり、それがきっかけで仲良くなった。
ピークォド号にたどり着いたイシュメールは、船長・エイハブが鯨に片足を食いちぎられたことを聞く。それでも船に乗りたいイシュメールは食い下がり、ようやく乗船許可が下りた。イシュメールは、出航した後に甲板にエイハブの姿を見る。エイハブは威厳のある男で、鉛色の瘢痕が、頭のてっぺんから足先までを貫いていた。片足は、鯨の骨でできた義足がはめられていた。
ある日の朝食の後に、エイハブは、右舷の尾びれに3つの穴の空いた白い鯨を見つけた者に、1オンス金貨を与えると言った。それこそ、「モービィ・ディック」とあだ名される白いマッコウクジラのことであった。船長の復讐心は、やがて乗組員たちにも伝染していき、ピークォド号はモービィ・ディックを探して航海に出た。
航海先でさまざまな国籍の捕鯨船に出会い、ついに日本の沖合で、エイハブはモービィ・ディックを発見する。3日にわたる戦いの末、ピークォド号は転覆し、イシュメール以外の乗員は死亡する。エイハブは、モービィ・ディックに自分の銛を突き刺すも、銛の綱が首に絡まって海に落ちてしまう。イシュメールは、その2日後に他船に救出された。