「生活費を先取り」「ほしいものは第4週に」――月7万円でできる、心と財布に負担をかけない暮らしのメソッド

暮らし

公開日:2023/11/27

低コスト生活 がんばって働いている訳じゃないのに、なぜか余裕ある人がやっていること。
低コスト生活 がんばって働いている訳じゃないのに、なぜか余裕ある人がやっていること。』(かぜのたみ/朝日新聞出版)

 頑張って働いているのに、暮らしぶりが良くならない――そんな漠然とした悩みを持っている人は意外と多いのではないか。かく言う私もその一人。社会人になったばかりの頃に比べ、収入は上がっているはずなのだが……。

 そんな悩みを抱えている人に是非とも読んでほしいのが『低コスト生活 がんばって働いている訳じゃないのに、なぜか余裕ある人がやっていること。』(かぜのたみ/朝日新聞出版)だ。

 本書は「暮らしと自分をととのえる」をテーマにYouTubeで配信を行っている、かぜのたみ氏の著書。モノ、お金、生活を見直すことで、月7万円でも心に余裕が持てる暮らしができているという。

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 それを可能にしているのが“低コスト生活”。これは食費や交際費などをただカットするものではない。著者によると、ありのままの自分が「本当に」心地良いと思える生活である、と述べる。少し言い方を変えれば、周囲の価値観に合わせて「~しなければならない」と歩んできたライフスタイルを振り返ってみよう、というものだ。

 お金を使わなくても得られる心地良さ。それを追求することで暮らしを、ひいては家計を見直すことに繋がっていく低コスト生活の一部を紹介したい。

先取りするのは、貯金ではなく生活費

「先取り貯金」という貯金方法がある。月末に口座に残ったお金を貯金に回すのではなく、給料が入った瞬間に預金口座に一定額を移すというものだ。これは多くの人が実践しているだろう。

 ただ、かぜのたみ氏はこの方法が合わなかったと話す。それは収入の増減によって生活水準が変わってしまう、臨時ボーナスなどで余裕ができても散財してしまいがち、ということが理由だ。

 そこで著者が始めたのが貯金を先取りするのではなく、生活費を先取りするという方法。そうすることで、収入によって生活水準を上げたり下げたりせず、一定を保つことができる。

 このご時世、右肩上がりで収入が増え続けるとは限らない。時には収入がダウンすることもある。そんなときに厄介なのが生活水準だ。一度上がってしまった生活水準を下げるのは至難の業。一度大金を手にした人が、生活水準を上げてしまったことで破産へ進んでしまうというのはよく聞く話だ。

 なかなか、そんな機会は無いかもしれないが、生活水準で一喜一憂するストレスが無くなるのは心の平穏を保つにはアリだろう。

月前半は使わない、月後半は豪遊

 個人的に面白いと思ったメソッドが「月前半は使わない、月後半は豪遊」というものだ。基本的にはその名の通り、月前半では使うお金をセーブし、月後半で自分が使いたいものにお金を使う。本書で紹介している、ざっくりとした流れは以下の通り、

第1週 片付けや掃除、仕事に集中。家にあるストックで過ごす
第2週 家にあるもので過ごしながら、下旬に向けて計画を立てる
第3週 優先順位の高いものからお金を使い始める
第4週 思い切り豪遊

 この方法であれば、ただお金を節約するのはツラいけれども、月の後半で楽しみが待っているとメリハリができそうだ。また、月の前半で「ほしい!」と思ったものならば、冷却期間を置いて、冷静に買うか否かを判断できるはずだ。

 また、第1週を可能な限りストックで過ごすというのも面白い。レトルト食品や即席めんを買ったはいいが、「いつか食べよう」と奥にしまい込み、そのまま賞味期限が切れてしまうことがある。そういった余計なフードロスを防ぐのにも良さそうだ。

0円デーをつくる

 0円デーとは、読んで字のごとく1日1円も使わない日のこと。何だか分からないが、気づけばお金を使っているということはないだろうか。例えば、口寂しいからと、コンビニでガムや飴を買う、会社で席を立ったついでに自販機でコーヒーを買う、などなど。

 塵も積もれば山となる。このような散財は放っておけば、だんだん大きいものに……。著者によれば、支出メモを作って、簡単に日々の支出を把握しておくのがおすすめとのこと。

 また本書には0円で楽しめる方法を書き溜めた「0円ネタ帳」にも言及している。例えば、お金を持たずにお店巡りというものから、服や靴のメンテナンス、近所の行きたい場所を探しておくなど、時間があったらやっておきたいことを書いているそうだ。0円デーと併せて実践してみるのも良さそうだ。

 本書には他にも、著者の考え方やメソッドがたくさん紹介され、どれもお金のかからないものばかり。つまり、失敗しても痛くもかゆくもない。面白そうと思ったものは、どんどんやってみるのがおすすめだ。

文=冴島友貴