2024年1月アニメ化の『ダンジョン飯』は異色の冒険漫画。ダンジョンに出てくる歩きキノコ、スライム、人食い植物などを食料に突き進め!

マンガ

更新日:2024/1/18

ダンジョン飯
ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)

 突然だが、ドラクエやファイナルファンタジーといったRPG作品に登場するモンスターを「美味しそう」と思ったことはあるだろうか? 正直、僕はそこまで想像を膨らませたことはない……。「可愛い」「かっこいい」と思うモンスターは数多くいたが。

 2024年1月からアニメがスタートする『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)は、まさにダンジョンに現れるさまざまなモンスターを調理して食べていく作品。冒険系の漫画なら主人公は剣や盾を持っているものだが、1巻の表紙に描かれている主人公が持っているのはフライパンとフライ返し。これだけでも異色感満載の作品であることがわかるだろう。

 物語の舞台はとあるダンジョン。主人公のライオスは仲間とダンジョンの奥深くで赤き竜に襲われる。応戦するも、疲労と空腹で自分も仲間も本来の力が発揮できず敗走。目が覚めると、ライオスの妹ファリンの姿が見当たらない。彼女が竜に捕らわれたままだとわかった一行はすぐ竜の住むダンジョンまで向かおうとするが、ダンジョン攻略に必要な食糧を買うお金はもう底をついていた……。そんな状況でライオスは仲間に「ダンジョンに住むモンスターを食糧にしながら進もう」と提案、一味は気乗りしないながらもファリン救出に向けてダンジョン内に進んでいくのだった。

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 作中で調理されるモンスターは、大サソリ、歩きキノコ、スライム、人食い植物の木の実、蛇と鶏が合成された生物・バジリスク、宝箱やアイテムになりすまして人を襲う怪物・ミミックなど、どれも決して「美味しそう」とは思えない食材ばかり。しかも物語が進むにつれて敵は強くなり、かつ「どうやって調理するんだ……?」と首をかしげたくなるくらい異様な姿のモンスターが多くなる。ライオスたちも最初は「そんなの食べられるわけがない」と嫌がるが、一行の料理担当・センシはそれらを見事に調理し、ライオスたちに振る舞っていく。不思議だが、彼が作るとなぜか美味しそうに見えてしまうのだ。大サソリと歩きキノコとスライムは水炊き鍋の具に、人食い植物の木の実はタルト、バジリスクはローストチキン、ミミックは中身をしっかり茹でて味が引き締まった一品になる。このモンスターはどんな料理になるのか考えながら読み進めるのも面白いだろう。

 本作がアニメ化されるにあたり、僕が楽しみにしているのはモンスターの調理過程をどう描いていくのかという点だ。どの漫画にも言えることだが、モノクロで描かれていたものに色、音、動きが付くとまた違った魅力が引き出される。料理のシーンは特にそうだろう、先ほど紹介したモンスターたちを、映像としてどう調理し、どう美味しく魅せるのか。公式サイトの予告動画では、かなり美味しそうな料理が映されていたので、いまからワクワクがとまらない。ぜひ注目していきたい。

 アニメが放送されるまでまだ時間はある。本作を初めて知ったという人は、まず漫画を読み進めてほしい。紙面と映像の両方で描かれるモンスターの調理シーンをたっぷり味わえれば、本作が何倍も面白くなるだろう。

文=トヤカン