機械が壊れたら理系はとりあえず分解してみる? 理系の思考回路と生態を客観的にマンガで眺めると新しい発見がある!
更新日:2023/12/22
理屈っぽい、効率重視、女心に疎い……偏見がありすぎる“理系あるある”を詰め込んだコミックエッセイ『理系の人々』。Web系SEとして働いていた漫画家のよしたにさんが、身近な理系の人々(ご本人含む)を、面白おかしく描いた漫画です。
本書が発売されたのは2008年。今から15年前なので結構昔です。本の中で最新機器として登場するガジェットは、パカパカケータイやiPodなど、懐かしいものばかり! その一方で、時間が経っても変わらないのが理系あるある。筆者は文系なので、理系の思考回路はまったくわかりません。が、身近な理系の人々を思い浮かべながら読むと、「たしかにこういうところあるかも」と、思えてしまうから不思議です。
理系の人は、毎日遅刻ギリギリ!?
たとえば「理系の修理」。壊れたビデオデッキを、ドライバーで開けて中身を確かめる理系の人。ただし直せるわけではないので、あくまで開けて見るだけ。筆者の父も理系で、まったく同じことをしていたのを思い出しました。壊れた電気機器類をとりあえず開けてみるのは、理系の人の習性だったんですね。「理系と電気」でオーバーヒートしそうなパソコンに、扇風機を当てている図も、その昔よく見かけました。
しかし「本当かい?」と言いたくなるような理系あるあるも少なくありません。「文系&理系の1日」では、両者の1日の過ごし方の違いを描いています。早く起きて、ゆとりある朝の時間を過ごす文系に対し、出社ギリギリに起床する理系。もはや間に合わないので会社までタクシーを使って移動します。
「本当にこんな人いるのかい?」と思っていたら、わざわざ注釈で、
「※ぼくの周りにも2人はいます。利用者は一様に『乗っても1メーターだし!』と強弁する。」
と書かれていました。実際にいるみたいです。
理系の人々は技術の進歩に敏感である
冒頭でも書きましたが、この本が発売されたのは今から15年前。その当時、話題だったのが、社会年金の未入力問題です。手書きで管理されていた年金の加入記録を電子データに移し替える際、多数の入力ミスがあったことが発覚。連日ニュースで取り上げられていました。この件について理系の人々はこんな風に話しています。
「OCRで自動読み取りできないもんすかねぇ…」
「そうは言っても手書きだから読み取り確率低いだろうしなぁ…」
OCRとはスキャナで読み込んだ文字をテキストデータにする処理のことで、この頃はまだ精度が低く実用には不向きとされていました。が、皆さんご存じの通り、OCRはこの15年の間に大きな進化を遂げています。現在、AIの学習機能と融合した最新のOCRは正読率が98%以上のものもあるんだとか。思いがけず、技術の進歩を感じてしまいました。
そんなことを考えていたら、最後の「理系の進歩」の回でハッとさせられます。読書中、突然部屋の電気が切れたことに対して、よしたにさんはこう思ったのです。
「…そういやここの電気切れたの初めてだなぁ 子どもの頃の電気はすぐ切れたのに」
「見た目も機能も変わらないのに 進歩してるんだなぁ すげぇなぁ」
15年前も今も、思うことは同じなんですね。きっと今から15年後は、OCRの性能も200%くらいになっているのでしょう。
理系じゃない人も、これを読んだらちょっとは理系のことが理解できるかも? ただし、個人差が大いにあるので、あまり真に受けないようにご注意ください。
文=中村未来