良かれと思った解消法が逆効果になることも!? ストレスとの正しい付き合い方と解消のコツを伝授
公開日:2023/12/9
私たちは日々、多くのストレスにさらされている。そのせいか、ネット上でも多くのストレス解消法を検索できるが、自分に効果のある方法を見つけるのは難しい。ひいては、いざ試しても上手に解消できず、かえってストレスを抱えてしまうこともある。
YouTubeで10万人以上の登録者数を抱える精神科専門医・メンタルドクターSidow氏の著書『ケーキ食べてジム行って映画観れば元気になれるって思ってた』(WAVE出版)は、巷に溢れるストレス解消法の指南書とは、一風変わった1冊だった。
ストレスの正体から学べる本書では、よく聞くストレス解消法を工夫して「より効果的なストレス解消法」にするための方法を提案している。考え方や行動を改善すれば、心がスッと楽になるはずだ。
ストレスが「自分由来」か「他人由来」かを見極める
ストレスの根本には、多かれ少なかれ悩みがある。「職場、人間関係、仕事、お金、人生…」と挙げればキリがないが、ときには、割り切るのも大切だと気が付く。
本書では、悩みを「自分由来」か「他人由来」かで考えるようにすすめている。例えば、「太ってしまった」「貯金がなくて不安」は自分由来の悩みで、「上司のパワハラがつらい」「取引先とトラブルになった」は他人由来の悩みだ。
自分由来であれば行動次第で状況が改善する可能性もあるが、他人由来であれば必ずしも努力では解決できない。そんなときは自分が行動して状況がよくなるかを見極め、解決できるなら自分が何をすればいいかを考えるのが望ましい。
他人由来で解決できなければ悩んでいる時間自体がもったいない。ときには諦めるのも、選択肢というわけだ。
解消法は依存性のないものを選ぶべき
ストレスにさらされたら、別のことに注意を向けるのがいい。趣味や娯楽に没頭するのも手段で、ドラマや映画を飽きるほど観たり、ゲームに集中したり、おいしいお酒やご飯をたしなんだりと、人によって様々だ。
しかし、ストレスの解消法として適切かどうかに目を向ける必要はあるという。本書によると、判断の基準は依存性があるかどうか。趣味に興じるときに「人が関わっているか」「終わりが見えるか」は、考えておくべきだと述べている。
例えば、人と協力しながら攻略するオンラインゲームは、何らかの報酬を期待して行動する際に活発化するという脳内物質ドーパミンの効果で、依存してしまう可能性もある。この場合、けっしてゲームが悪いわけではない。ただ、依存性がなくほどよい趣味や娯楽を見つけるのが必要というわけだ。
加えて日常生活への悪影響が出ないようにするのも肝心だ。「激しい運動で怪我をする」「買い物しすぎて生活費がなくなる」となっては本末転倒で、過度に「一時的なストレス解消」を求めないようにしておくべきだ。
本書に教わったのは、何事もほどほどが大切という意識だった。ストレス解消のためにと躍起になり、かえって追い詰められてしまう経験をした人も少なくないだろう。日々のストレスにさらされている人にとって、必読の書である。
文=カネコシュウヘイ