「叫び」を描いたムンクの泣ける絵。姉の死期が近いことを示すカーテンの闇が…/つい人に話したくなる名画の雑学⑥

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/19

つい人に話したくなる名画の雑学
1894年 油彩、キャンバス 1250×940㎜ ベルヴェデーレ・オーストリア絵画館(オーストリア、ウィーン)

衰弱した兵士伸ばした手の先には……

『親愛なる訪問』

マクシミリアン・クルツヴァイル
【チェコ 1867~1916年】

愛馬と会うという兵士の最期の望み

 重い病気に侵された時、あなたは誰に会いたいですか? 付き添いの男性らの服装から判断するに、彼らは19世紀末のオーストリア騎兵でしょう。ベッドの男は戦場で傷ついたのでしょうか。体を自分で起こせない程に衰弱しています。本来、病院は動物を入れるのが禁止されている場所なので、馬を入れるというのはよほどのこと。ひょっとすると、彼の最期の望みが愛馬と会うことだったのかもしれません。馬に伸ばした手に愛を感じます。

 ウィーン美術アカデミーで学んだクルツヴァイルは、パリに留学しアカデミー・ジュリアンに入学します。後に地元ウィーンで活動しますが、何といっても彼の経歴で特筆すべきは「ウィーン分離派」への参加です。

 19世紀の伝統芸術からの分離を目指し、グスタフ・クリムトを中心として1897年に結成されたこのグループに彼は創設メンバーとして名を連ねていました。分離派の機関誌創刊にも尽力しましたが数年後に脱退しています。

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