絵画にハエがついているドッキリ!? 死や腐敗を示すというハエを描いた別の意味とは?/つい人に話したくなる名画の雑学⑦

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/20

つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)第7回【全7回】

「昔の風俗をつぶやくよ」ことヤスダコーシキ氏が、落ちついた語り口をベースに、独自の解釈をネットスラングなども用いてわかりやすく絵画を解説。
名画のモチーフや当時の背景、作家の人生など、絵画にまつわる雑学を誰でも楽しく知ることができます。軽妙で読みやすい文章は、長文でもさらっと読めるほど。ヤスダコーシキワールドに惹き込まれれば、あっという間に1冊を読破してしまいます。
読後感は「おもしろかった!」と充実したものになること確実。絵画に興味がある人はもちろんのこと、絵画に対してハードルが高いと感じている人や、長文が苦手な人でも楽しめる1冊です!

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つい人に話したくなる名画の雑学
『つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)

つい人に話したくなる名画の雑学
1545年頃 油彩、パネル(板) 1460×1162㎜ ナショナル・ギャラリー(イギリス、ロンドン)

まさに寓意のゴッタ煮
美しくも、カオスな問題作

『「愛」の勝利の寓意』

アーニョロ・ブロンズィーノ
【イタリア 1503~1572年】

とにかく情報が多すぎていまだに解釈が定まらず

 美しくはあるのですが、この絵はかなり色々と詰め込んであり情報多すぎです。寓意のゴッタ煮と言えるかもしれません。

 中央で接吻するのはヴィーナスとキューピッド。二人は母子のはずなのですが、ヴィーナスはよく見ると口を少し開きベロチュー状態です。しかも彼女は愛の矢で息子を刺そうとしている。かなり背徳的です。右側の花吹雪を用意する天使は快楽の象徴。がっつり楽しめ、という意味っぽいですが応援する事ではないでしょう。後ろで頭を抱える老女は嫉妬。馬鹿な事をすると後悔するぞ、という諫めかもしれません。この他のキャラは時の象徴や欺瞞の象徴などなど。あまりにカオスなため、この作品の解釈はいまだ定まっていません。

肌のきめ細かさが目を引くマニエリスム期

 この問題作を描いたブロンズィーノは肌のきめ細かさや美しさが特徴であるマニエリスム期の画家。彼は有力貴族メディチ家の宮廷画家でした。なお、ブロンズィーノは彼の髪色から付いたニックネームです。

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