料理に必要なものは食材2つだけ!? 赤パプリカと豚ロースだけで作る酢豚など、一生モノのシンプルで簡単なレシピがまとまった1冊

暮らし

公開日:2024/1/1

材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ
材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ』(長谷川あかり/飛鳥新社)

 近年は「SNSから人気に火が付いた若手料理家」と言える方が数多くいますが、長谷川あかりさんはその代表格。

 長谷川さんは10歳から20歳まで子役・タレントと活躍した後、大学で栄養学を学んで管理栄養士の資格を取得。2022年からSNSでレシピを発信しはじめて、瞬く間に人気に……という異色の経歴も相まって、非常に注目を浴びている20代の料理家です。

 本記事では、9月に発売の『材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ』(長谷川あかり/飛鳥新社)を実際に作ってみながらレビュー。20代の料理家らしい、新しい世代の感性があらわれた食材・調味料の組み合わせと、作り方も味も「やさしさ」に溢れたレシピが楽しい1冊でした!

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小松菜と卵の煮びたし

小松菜と卵の煮びたし

 まず、あまりの手軽さと美味しさに惹かれて、何度も作ってしまったのが「小松菜と卵の煮びたし」。葉物野菜の煮浸しのレシピは色々とありますが、卵と合わせるレシピというのは意外と見たことがありませんでした。

 なおこの本のレシピはタイトルの通り、使用する食材は基本的に2つのみ。このレシピも食材は小松菜と卵のみで、だし汁以外の調味料は塩、みりん、ごま油だけというシンプルレシピです。

 実際に作って食べてみると、すっきり塩味のだし汁でサッと煮込まれた、卵と小松菜が想像以上に好相性。やさしい味わいながらも、小松菜も“ご飯のおかず”としてモリモリ食べられる美味しさで、ワンパンで作れる点も含めて、朝食に最高のレシピだと感じました。いつでも100円程度で買える小松菜と卵の組み合わせなので、財布にやさしいのも嬉しいところです。

鮭とせん切りキャベツのゆずこしょう煮

鮭とせん切りキャベツのゆずこしょう煮

「鮭とせん切りキャベツのゆずこしょう煮」も、これから何度も作りたいと思ったレシピの一つ。

 こちらは「市販の千切りキャベツ」を使える点がレシピのやさしさのポイント。先の「小松菜と卵の煮びたし」と同じくだし汁を使うレシピで、調味料もシンプルですが、ゆずこしょうをそこに加えるのが特徴です。

 こちらも作って食べてみると、ゆずこしょうがピリリと響くさっぱり味が、食べたことのない新しい美味しさ。だしスープを吸ったキャベツもやさしい味わいで、結構な量があっても美味しく食べられます。

なお鮭は塩を振って水気を拭き取り、片栗粉をまぶした後に煮ているので、スープ煮の状態でも旨味はしっかり閉じ込められています。このあたりの手順の細かさには、長谷川さんの料理家としての確かな実力を感じました。

はちみつだしの彩り酢豚

はちみつだしの彩り酢豚

長谷川さんらしい新しさを感じたレシピで、なおかつメチャクチャ美味しかったのが「はちみつだしの彩り酢豚」。こちらは具材が赤パプリカととんかつ用の豚ロース肉のみ。片栗粉をまぶした豚肉を少量の油で揚げ焼きにして、その油を捨てた後に別で炒めたパプリカとだし汁と合わせる……という作り方です。

 食べてみると、非常にオシャレな味のするさっぱり中華。脂っこさも感じず、酸味とほのかな甘さでスルスル箸が進みます。揚げ焼きされたお肉は柔らかく旨みたっぷりで、パプリカのほのかな苦みが非常によいアクセントになっていました。食材が2つしかないぶん、素材の旨みがたっぷり感じられる……というのは、この本のレシピに共通する特徴です。

 

この料理は奥さんにも非常に好評で、「お店みたいに気の利いた味だねぇ」と喜んでいました。これも豚ロースが安いときにまた作るレシピになりそうです!

たことじゃがいものガリシア風炊き込み

たことじゃがいものガリシア風炊き込み

 気づけばここまでだし汁を使うレシピばかりを紹介してしまったので、最後に「たことじゃがいものガリシア風炊き込み」という洋風レシピも作ってみました。

 日本人としてはじゃがいもがご飯に入るのが新鮮。生米を炒めてから炊く形ですが、特に工程に難しさはなく、料理初心者の人でも手順通りに簡単に作ることができるはずです。

 食べてみると、食材は2つだけなのに、これが手の込んだ料理のような美味しさになっていてビックリ。最初にオリーブオイルで炒めたにんにくの風味が移り、タコの旨みもたっぷり吸ったご飯が非常に美味いです。カリッとしたおこげの部分が特に美味でした。こちらはおもてなしの料理として使う機会がありそうです。

あたらしくて、おいしくて、やさしいレシピ集

 ……という感じでいくつかのレシピを作りながら本書を読んでみましたが、この本のレシピは「あたらしい」「おいしい」「やさしい」の3つの要素が揃っているのが特徴だと感じました。

 どれも新しさに加えてオシャレさも感じる味わいですが、だし汁で煮込んだり、少量の塩や醤油だけで味をつけたりしているレシピが多く、しっかり万人受けしそうな味になっている点もスゴいところ。また油の量が比較的控えめな点にもやさしさを感じました。

チンゲン菜のえび天あん

 そのほか「チンゲン菜のえび天あん」なども作ってみて非常に美味しかったので、筆者もまだまだ別のレシピを作って本書を楽しんでいこうと思います。

文=古澤誠一郎