お正月を楽しむ絵本(2023年12月新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/23

年越しやお正月は、日本で昔から大事にされてきた伝統文化。子どもたちに受け継いでいきたい!と思う反面、家族のかたちも多様化しているなかで、すべての正月行事を行うのは難しいところ。
しかし! 絵本では古き良き時代のお正月を体験できます。大掃除や餅つき、おせち料理やお雑煮に正月遊び。年末年始に読めば、よりいっそう楽しめるお正月絵本を集めました。

「10ぴきのかえる」たちは大掃除、「ようかいむら」や「おせち一家」はにぎやかに初詣、「14ひき」のみんなは家族総出でお餅つき。お正月ならではの「七福神」や「十二支」も、実は子どもの関心が高いジャンル。意外と曖昧なおせち料理の名前や冬の行事も、この機会に覚えちゃいましょう。童心にかえって、子どもと一緒に昔遊びを楽しむのもいいですね。帰省先で、祖父母世代とのコミュニケーションにも役立ちます。

お正月の絵本には新年をことほぐ言葉があふれているので、読むだけで幸せな気持ちになれることまちがいなし。いつもと違う「ハレの日」の空気をお子さまにも感じてもらえるはずです。新しい年の始まりを、明るく楽しく迎えられますように。

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「ぺったん ぺったん ぺたぺったん」、愉快なリズムにノリノリで読める『おもち!』。おもちが動物に変わるワクワク感が楽しさ倍増

おもち!

文:石津ちひろ 絵:村上康成

みどころ

さあ、おもちつきが始まるよ! 
最初はぼくがおもちつき。ぺったんぺったんしていると、
もちもち、もっちり のびてのびて…
おもちは、かわいいうさぎになっちゃった。
お次はわたしがおもちつき。こねこね ぺったんしていると、
もちもち、もっちり、のびてのびて…
おもちは、大きなしろくまになっちゃった。
おじいちゃんがつくと、なにになるかな?

石津ちひろさんの愉快な言葉のセンスで、餅つきの様子が見事に表現されていきます。声に出して読むと、威勢がよくて楽しくて、元気が出てきますよ。
村上康成さんのイラストは、ユーモラスで臨場感たっぷり。餅つきは身体をいっぱい使う大変な作業なのが伝わってきますね。合いの手を入れるネコの表情もかわいいのでご注目を!
こうやって魔法のようにもちもちの美味しいお餅ができると知っていると、お正月に食べるお餅がいっそう美味しくなりますね。おじいちゃんおばあちゃんとも一緒に楽しめる、お正月ならではの絵本です。

ついて、丸めて、食べる。餅つきは家族総出の年越し行事。「ぺったん、とったん」、餅つきの音が心地よい『14ひきのもちつき』

14ひきのもちつき

作・絵:いわむらかずお

みどころ

季節感あふれる自然を背景に、14ひきの様子をじっくり眺めながら読んでいくのが楽しみな「14ひきの」シリーズ。12冊目のテーマは「おもちつき」。お正月にぴったりな内容ですね。

朝早くから準備が始まって、一日かけておもちを味わうまでが丁寧に描かれていきます。「おもちつき」の準備ってどんなことをするのでしょう。お米の下準備や、ついたおもちをのす方法、おもちのつき方までしっかり分かります。へぇー、うすの下にわらのざぶとんをしくんだ……なんて発見もいっぱい。

もう読者にお馴染みの、いっくんからとっくんまで子ども達が、それぞれ何をしているのか目で追っているうちに、気分はすっかり家族の一員。こんなにうきうきする行事を家族でできるなんて、やっぱり大家族って素直にうらやましくなってしまいますよね。

かまぼこさんが名前を呼べば、おせち料理のみんなが重箱にイン! 親しみやすく覚えられる『おせちのみんなあつまって!』

おせちのみんなあつまって!

作・絵:真珠まりこ

みどころ

「みんなあつまって!」

かまぼこさんがよんでるよ。
くろまめさーん、くりきんとんちゃん、だづくりさんにこぶまきくん。

「はーい」「ころころ」「ころん」「すいすい」

みんなが元気にお返事しながらあつまってきましたよ。
だてまきさんに、元気でぷりぷりえびちゃんも。

「くるくる」「ぐるぐる」「ぴょーん」

ほらほら、重箱にはおせち料理の仲間たちがたくさん。
最後はつめてつめて、かまぼこさんがはいったら。

「はい!みんなそろったよ」

真珠まりこさんが描く、可愛い可愛いおせちの絵本。
一緒にお返事しながら、それぞれのキャラクターをおぼえてあげてね。
みんなそれぞれに、色々な願いが込められているんですよ。
さあ、おせち料理が完成しました。

「あけましておめでとう!」

楽しく美味しくいただいて、幸せを願いあってくださいね。
最後には、みんなで遊べるくりきんとんちゃんの福笑いもついていますよ。

数え歌のようなリズミカルな文章で、自然と楽しく七福神を覚えられる絵本。一冊まるごとおめでたい『どんぶら どんぶら 七福神』

どんぶらどんぶら七福神

文:みきつきみ 絵:柳原良平

出版社からの内容紹介

子どもの頃から七福神に親しみ、寿老人(じゅろうじん)の人形で遊んでいたという柳原先生に、このたび七福神の絵本を描いていただきました。コピーライターのみきつきみさんの言葉も調子よく、子どもは呪文のように覚えてしまうかも? 福々しい神さまの笑顔にこちらの頬もゆるみ、思わず周りの人にもすすめたくなってしまう絵本です。

お正月とはなんぞや?と、冬眠中に目が覚めた10ぴきのかえる。大掃除に餅つき、凧揚げも!「いそがしいけど おもしろい」。『10ぴきのかえるのおしょうがつ』

10ぴきのかえるのおしょうがつ

作:間所ひさこ 絵:仲川道子

出版社からの内容紹介

くーすかと気持ちよく冬眠していた10ぴきのかえるは、「ぺったんぺったん」ねずみのもちつきの音で目をさましました。どうやらおしょうがつのしたくをしているようです。「ぼくたちも、おしょうがつのしたくをしようよ」「けろろん、さんせーい!」さっそく、10ぴきのかえるは大そうじをはじめました。「さあさあ、おつぎはもちつきだ」「まだまだ、まだまだいそがしい」「いそがしいけど、おもしろい」つぎはおせち作りにコマ作り……。10ぴきのかえるは、無事におしょうがつをむかえることができるのでしょうか。

『十二支のお節料理』に続く『十二支のお雑煮』。年が明け、十二支たちが日本の伝統的な正月を過ごす場面を版画で鮮やかに描く

十二支のお雑煮

作・絵:川端誠

みどころ

夜の雪もやみ、元旦の朝をむかえます。
ねずみたちが、年のいちばんはじめに汲む水「若水(わかみず)」を汲み、この水でお雑煮をつくります。
ねずみ、うし、とら、うさぎ、たつ、へび……みんなきちんと着物を着込み、膝の上に手を置いて。
十二支そろって……あけましておめでとうございます。

さあ、新年です。
きらびやかな何段ものお重に詰められたお節料理。
鏡餅にやってくる年神さまにご挨拶をし、初詣へ。
十二支の動物たちは、羽根つき、凧揚げ、すごろく。百人一首に、書き初めと思い思いに楽しみます。
そして、神さまに供えるのと同じお餅を、鍋で煮込んだお雑煮をいただきます。

作者・川端誠さんによると、お雑煮は、神さまにお供えする同じお餅を食べることで、一年の力を授かろうとしたものだとか。
お雑煮をつくる火を大切にするため、他の煮炊きをしないように年末に重詰めにしたのがお節料理。
年末につくるのがお節で、年始につくるのがお雑煮。
だから正月の祝いの膳の主役はお雑煮なのだそうです!

絵本からは、ぴんとはりつめた年始の空気、清冽な水、お正月のとくべつな気配が伝わってきます。
川端誠さんと言えば多くの絵本の本文を、彫刻刀で彫っています。
本書も彫った文字がとても素朴で味わい深いです。

最後は白い雪の中、しめ飾りを外し、朱塗りのお膳をきれいにしまい、赤く燃え上がるどんど焼きで締めくくられます。
白と赤色のコントラストといい、十二支の動物たちの生き生きとしてユーモラスなにぎわいといい、作者が愛する日本のお正月文化を、ページのすみずみまで余すところなく描こうとする姿勢が貫かれた素敵な絵本です。

家族みんなで大にぎわい。人間の一家と、重箱に暮らすおせち料理の一家の年越しを同時進行で描くユニークな絵本『おせちいっかのおしょうがつ』

おせちいっかのおしょうがつ

作・絵:わたなべあや

出版社からの内容紹介

お正月の準備に追われる箱田さんちの重箱の中では、“おせちいっか”のみんなも大忙しです。ふたごのかまぼこ、こうちゃん、はくちゃん、だてまきママに、くわいパパ、えびばあちゃんに、たたきごぼうじいちゃんたちのみんなは、年越しそばを食べると初詣へ。「たべもの神社」の境内は、おぞうにいっかやおすしいっかなどの、いろいろ食べ物たちで大賑わい! おせち料理の由来もわかる、楽しいお正月絵本です。

おみくじは大凶が最高? のっぺらぼうの福笑い? 一癖も二癖もある『ようかいむらの たのしいおしょうがつ』は家族みんなで遊べるようかいすごろく付き

ようかいむらの たのしいおしょうがつ

作:たかいよしかず

出版社からの内容紹介

ようかいむらにお正月がきました。ぬらりひょんのぬらりんと、つぺらぼうののっぺぺが、初もうでで神様におねがいごとをしてます。いえに帰ると、おせち料理や楽しい遊び、獅子舞におもちつきがまっていました。そして…。

ふくふく、にこにこ顔の12人のおふくさん。新年に読みたい、幸せいっぱいな気持ちになれる歳時記絵本『おふくさんの12かげつ』

おふくさんの12かげつ

文・絵:服部美法

みどころ

幸せいっぱい福いっぱい。大人気「おふくさん」シリーズに、12カ月の伝統行事を紹介する歳時記えほんが登場しました!

山の奥深くにある家で、ふくふくにこにこ仲良く暮らすおふくさんたち。むつきさん、きさらぎさん、やよいちゃん……。みんな月にちなんだ名前を持っています。これまで10人だったおふくさんたちですが、みなづきさんとながつきさんが長旅から帰り、ようやく12人揃いました。なかよしのおにさんに、順番に自己紹介をはじめます。

1月はむつき(睦月)。年の初めに集まって、仲睦まじく過ごす月です。1月1日の元旦、1月7日の七草粥、1月11日ごろの鏡開きがあります。おふくさんたちはこたつを囲み、それぞれおせちを食べたり、福笑いや書き初めを楽しんでいます。おふくさんのおうちでは、お年玉のことを「おふくだま」というようです。

続いて2月(如月)は節分、3月(弥生)はひなまつり、というように、四季のうつりかわりとともに、それぞれの月の定番行事や風物詩、季節の食べ物などが紹介されます。旧暦の名の由来や大切にしたい行事の知識が、自然に学べるというのがいいですね。夏祭りにおつきみ、紅葉狩りにクリスマス……。おふくさんたちの12カ月はとても充実しています。

眺めているだけで縁起が良さそうな、見どころ満載の1冊。服部美法さんの幸福感いっぱいのイラストを、ページの隅々まで楽しんでください。ぼそっとつぶやくおふくさんたちのセリフも楽しいですよ。日本の風情を感じながら、大いに福を呼び込んでくださいね。笑うかどには福来る。さあ、おふくさんたちと一緒に、「いちねんわらってすごしましょ」!

囲炉裏端でのお年越し。昭和20年代の東北の自然の中でのびのび育つ子どもたちを描いた『やまのこどもたち』は、古き日本の姿を教えてくれる

やまのこどもたち

作:石井桃子 絵:深沢紅子

出版社からの内容紹介

春は梅の花でおままごと,夏には梨の実とり,秋の楽しい運動会,そして深い雪の中で迎えるお正月――東北地方の農村の素朴な暮しと自然を,いたずらっ子のたけちゃんを中心に描きます.

大晦日の恩返し。日本で大事に読み継がれてきた昔話を英語と日本語で。『英日CD付2ヶ国語絵本 かさじぞう The March of the Jizo』

英日CD付2ヶ国語絵本 かさじぞう The March of the Jizo

作:中村とも子、鈴木小百合 絵:本多豊國

出版社からの内容紹介

小学校の国語の教科書にも出てくる昔話「かさじぞう」が英語と日本語の両方で楽しめます。

慶応大学・大津由紀雄教授も推薦!!
「日本語と英語、絵、そして音声素材も練って練って作られています。英語学習教材としても効果を期待できます」 

小学校英語の教材としてもおすすめです。

●日本語/中村とも子
●英語/鈴木小百合
●絵/本多豊國
●CD収録時間/24分
(英語・日本語一文ずつ交互15分/英語のみ9分)
●ページ数/24

「子どもに伝えたい&大人も知りたい」を、この一冊で! 12ヶ月30以上もの日本の伝統行事をイラストでわかりやすく紹介する『はじめての行事えほん』

はじめての行事えほん

監修:小川直之 絵:竹永絵里

出版社からの内容紹介

日本の伝統行事をつたえ、季節感をもつ子に育てる
四季折々の様々な行事を、ひと月ごとにかわいいイラストでわかりやすく解説します。お正月やひな祭りなどの身近な行事に加え、若水や天神講など、子どもにつたえたい行事も紹介。行事にまつわる食べ物や草花を知ることで、季節の変化も感じられる1冊です。

年越しや節分、行事を知れば冬がもっと楽しくなる! 12月から2月の行事を学べる絵本『冬のえほん きせつと行事をまなぶ』

冬のえほん きせつと行事をまなぶ

作・絵:たかいひろこ

出版社からの内容紹介

12月から2月の「冬」の行事を幼児にもわかりやすく紹介した絵本。主な行事とそれにまつわる内容を入れた季節ごとの絵本です。12月になぜ大そうじをするのか、お正月になぜおせち料理をつくるのかなど、おとなも知らない日本の伝統行事を小さな絵本にまとめました。1見開きを「ひと読み」1分で読めるので、飽きずに読んでいるうちに季節と行事について無理なく学べます。

お手玉、手遊び、輪ゴムのパチンコ。昔ながらの素朴な遊びがいっぱい。『かこさとしあそびの本(1) かわいいみんなのあそび』

かこさとしあそびの本(1) かわいいみんなのあそび

作:かこさとし

出版社からの内容紹介

『だるまちゃんとてんぐちゃん』『からすのパンやさん』などの著作で、子どもたちに大人気!
かこさとしが贈る、楽しくなつかしい“子どもの遊び集”復刊!!

絵本作家として、人気の高いかこさとし。子どもの遊びを観察し続け、常に子どもの気持ちになって作品を作り続けている著者が、数々の遊びをジャンル別に絵と文で紹介。誰でも知っている遊びから、世界各国の遊びまでを網羅した、楽しいシリーズ絵本です。どの巻にも、かこさとしの優しく明るい「子どもたちへのメッセージ」が込められています。
そして全5巻を揃えると、ちょっとした楽しい仕掛けが。かこさとしのユーモアあふれる<あそびの本>をお楽しみに!

▼内容
せっせっせ/ハンカチあそび/花のわ花かざり/むしのわらべうた/おふろあそび/まちがいさがし/あかちゃんあそび/だるまさんあそび/おとぎのくに/絵さがし/わがやの室内オリンピック ほか

※本書は、1970年・童心社刊『かわいいみんなのあそび』を底本に復刊するものです。
※上記カバーデザインはオリジナル刊行時のものであり、今回の復刊版とは異なります。

【動画公開中】冬をあたたかく過ごす一冊 絵本・児童書

文:栗田奈緒子 編集:木村春子