遊びで鬼ごっこをしていたら本物の鬼が!? すごい形相の鬼に迫られたその結末は?/3分間ミステリー 十の鍵③
公開日:2023/12/28
『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー 十の鍵』(和智正喜:著、りたお:イラスト/ポプラ社)第3回【全5回】
短編のミステリー物語。じっくり深読みをして、本当の“かくされた意味”にたどり着けるか? 物語に潜むトリックが人気の短編物語『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』シリーズ第10弾。今回はサブタイトルの「十の鍵」に秘密が隠されている⁉ 物語を読めば、シリーズ初のトリックに誰もが驚愕すること間違いなし。物語の考察が済んだら解説ページで答え合わせができるため、深読みが苦手な人にもライトに読み進められます。1話3分ほどで読める『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー 十の鍵』の“不思議な世界”をお楽しみください。
鬼ごっこ(本物)
ボクたちは〝鬼ごっこ〟をしていた。
「えー、ただ追いかけっこしてつかまえるだけでしょ? つまんないよ、そんなの」
ボクは最初、そう思ってたけど……。
じゃんけんで〝鬼〟をサトルくんに決めて、ボクたちは「わーっ」と悲鳴みたいな声をあげて、全力で走った。
四方八方にバラバラに逃げた。
ただ走ってるだけだけど、なんだか楽しくなってきた。
「……ん?」
うしろから、ドスドスと、重い足音が聞こえてきた。
振りかえると……。
大きな金棒……トゲがいっぱい生えた、鉄のこん棒を持った、身長は三メートルくらいあって、筋肉がムキムキの……で、髪の毛はチリチリで、頭にはツノがはえていて……ええと……つまり……、
本物の鬼が追いかけてくる。
「うわっ」
ボクはおどろいて、その場でしりもちをついてしまった。
鬼はすごくこわい顔……それこそ、鬼の形相でせまってくる。
もうダメだ。
鬼が来た。
目の前だ。
……え?
鬼はボクに優しくタッチした。