再生回数400万超! 花江夏樹やHoneyWorksも参加のアニメMVを小説化した『魔法のない世界で生きるということ』に込められたメッセージとは
公開日:2023/12/30
新進気鋭のクリエイター・秋鷲が原案を手掛ける小説『魔法のない世界で生きるということ』が、2023年10月30日(月)に発売された。
『魔法のない世界で生きるということ』はYouTubeで400万超の再生回数を記録しているアニメーション作品。当時まだ大学生だった秋鷲が卒業制作として作った短編で、自主制作とは思えないハイクオリティな映像と音楽、そしてファンタジックで魅力的な世界観が高く評価され、声優の花江夏樹とクリエイターユニットのHoneyWorksが参加したことでも注目を集めた。現在、クリエイターの秋鷲は「Euluca Lab. /ユルーカ研究所」でアニメMVをリリースするなど精力的に活動中。今回のノベライズは、数々のアニメーションやゲームを小説化してきた岩佐まもるが手掛けている。
『魔法のない世界で生きるということ』の作品世界となっているのは、魔女とともに生きる街、ウルガルズ。魔法学校に通うベナ、サラ、ネモラの3人の魔女を軸に「死者を蘇らせる禁忌術」と生贄となる少年の物語が綴られる。
原作のアニメーションは10分に満たない短編だが、美しくきらめく映像と作中に流れる楽曲の歌詞が絡み合い、壮大なスケールの物語を予感させる作品に仕上がっている。また、本編の中には謎めいた描写があり、世界観やキャラクター設定などが詳細に解説されることもほぼなかった。であるがゆえに、物語の解釈や全体像をめぐって視聴者たちが想像を膨らませる、という現象も起きていたが、そういう楽しみ方も原作アニメーションが人々の心を掴んだ理由のひとつだろう。
今回のノベライズは、そうした物語の解釈についての“公式回答”と呼べるものかもしれない。実際、原作アニメーションのYouTubeのコメント欄には視聴者から「小説版を読んでから映像を見直すと新しい発見があった」という主旨のメッセージがいくつも残されている。また、カバーや挿絵のカラーイラストもノベライズならではの魅力の一つだ。
アニメーションを見た後で読みたくなる、あるいは読んだ後でアニメーションを見返したくなる。本書は“魔法のない世界”にまつわる空想をさらに広げてくれる一冊となっている。