ヤクザ×怪死事件!? カタギに憧れる“跡取り息子”の戦いを描く、ヤクザものの新境地『BRAVE BELL』
PR 更新日:2024/5/31
近年、創作のモチーフとして少年・青年マンガはもちろん、少女マンガでも人気を博している「ヤクザ」という存在。ダークヒーローとして暗躍したり、またある時はちょっぴりデンジャラスなスパダリだったり……。多様なヤクザが漫画界で勢力を拡大している。だが、「週刊少年マガジン」で連載中の『BRAVE BELL』(メーブ:原作、小金:漫画/講談社)は、今までとは一味違う切り口で“ヤクザの物語”を描く。
主人公は高校3年生の真田蒼司。頭脳明晰で運動神経も抜群、メガネがよく似合う切れ長の美しい瞳を持つ彼は、「週刊少年マガジン」の枠を超えて少女マンガの世界にいても違和感がないほど魅力的なキャラクターだ。そんな蒼司だが、実はヤクザの跡取り息子であり、それが原因で周囲からは忌み嫌われている。
時には、ヤクザの跡取り息子というその名にたがわぬ強さに惚れ込んだ不良たちが、舎弟にしてくれ! と蒼司を慕ってやってくる。だが、彼は一貫してその頼みを突き放す。なぜなら蒼司の将来の夢は“カタギとして生きていくこと”だからだ。
ヤクザは、スマホはもちろん家や車が買えない。銀行口座も作れない。さらには現代のヤクザの半数は年収が200万円以下……。つまり、ヤクザが大手を振るって生きていけた時代は終わったのだ。そんなヤクザのリアルを憂い、さらには周囲から奇異の目に晒されて孤独を感じていた蒼司は、カタギとして生きていくことに対して固い決意を持っている。
事実、昨今では暴力団排除の取り組みが社会に浸透しているため勢力が減り、組員の高齢化が進んでいるらしい。これまでの漫画で描かれてきた、華やかかつ、ギラついたヤクザ像とは少し違う……どこか現在の切実なヤクザ事情を感じさせるような切り口で『BRAVE BELL』は進む。
だが、そんな現実を見据える蒼司の願いも虚しく、物語は思わぬ展開へと転がり始める。ある日、蒼司が学校で授業を受けていると組員から「逃げてください!」と、ただならぬ電話がかかってくる。その声を聞いた蒼司は急いで帰宅するが、そこには無惨に殺された組員。そして組長である父親の変わり果てた姿が……。
とても人間の仕業とは思えないような残忍さ。そして、現場に残された不可解なメッセージ。あんなにもカタギとして生きていくことを望んでいた蒼司だったが、大切な家族を殺された復讐心を胸に燃え上がらせる。
素質はあるのにあえてカタギになる道を望む……。そんな従来のヤクザとは一味違う設定にして、謎多き殺人事件から開幕する『BRAVE BELL』。現時点で、ヤクザものの新境地として期待大な本作。果たしてこれからどんな物語を見せてくれるのだろうか?
文=ちゃんめい