連載開始40周年を記念した大型展覧会「ときめきトゥナイト展」が大盛況の『ときめきトゥナイト』。2021年からは続編である『ときめきトゥナイト それから』の連載も始まり、好評を博している。昭和・平成を生きた女の子たちの青春の入り口だった『ときめきトゥナイト』は、新しい時代にどんな物語を紡いでいくのだろうか。

『ときめきトゥナイト』は、不思議な力を持ったヒロインが活躍するファンタジーラブコメディの金字塔。魔法、輪廻転生、超能力といったファンタジー要素に加え、恋のライバルとの三角関係や学園ものらしいドタバタ劇など、女の子たちの心をときめかせるエッセンスがぎゅっと詰め込まれた名作である。

　物語は三部構成となっており、第一部では吸血鬼と狼女のハーフ・蘭世、第二部では超能力を身につけた女の子・なるみ、第三部では蘭世の娘で魔女修行中の愛良を主人公に据え、彼女たちの恋愛模様や愛する人々を守るための冒険の日々を描いていく。なかでも第一部の「蘭世編」は、クールでツンデレなヒーロー・真壁俊との恋の行方が注目の的となり、シリーズ屈指の人気を誇った。

　2人の出会いは中学時代に遡る。転校してきたばかりの蘭世は、中学生とは思えぬ美貌と色気をまとった真壁くんに一目惚れしてしまうのだ。見た目の美しさにとどまらず、実は魔界人の血を引いていて、人間界に追放されてしまった存在で…という切ない過去も彼の魅力に拍車をかける。

　クールで不器用、しかし優しさを感じる真壁くんとの名シーンの数々に、多くの女の子たちが胸をときめかせていた。そんなイケメン具合からか、連載から40年が経過した今も憧れの男の子として「真壁俊」の名前が挙げられることが少なくない。まさに「初恋泥棒」と呼ぶにふさわしい人気キャラクターなのだ。

　お互い惹かれ合っていく蘭世と真壁くんだが、なんと2人は前世でも結ばれていた恋人同士だった。生まれ変わっても巡り合う2人の姿に女の子たちは憧れ、少女漫画史には理想のカップルとして今もその名が刻まれている。

　そして、晴れて夫婦となった蘭世＆真壁くんのその後の人生にフォーカスしたのが続編の『ときめきトゥナイト それから』である。蘭世は42歳となり、なんと初孫も誕生！懐かしい同級生たちも出産や仕事でそれぞれの人生を歩んでおり、キャラクターたちの成長具合にほっこりさせられる。

　池野恋先生の繊細なタッチで紡がれる「現在地」は美しく、主人公たちが年齢を重ねていようともその姿はまさしく少女マンガそのもの。蘭世のかわいらしさも、真壁くんとのラブラブぶりも健在だ。大人になった読者たちがあの頃に戻ってもう一度夢を見られる…そんな「ときめき」に溢れた作品となっている。

　もちろん、『ときめきトゥナイト』を語る上で欠かせないファンタジーな魅力もパワーアップ！第1話では真壁くんが海外渡航をし、蘭世と愛良の母娘二人暮らしとなった真壁家の周辺に怪しい人影が出没し始める。まるで気に留めていない蘭世だったが、不穏な出来事は徐々に広がりを見せ始め…。

　真壁家に突如として降りかかったトラブルを、蘭世たちはどう乗り越えていくのだろうか。アラフォーとなった彼女たちの活躍を、ぜひ追いかけてみてほしい。

執筆：ネゴト / あまみん