冬のおいしい食べ物絵本(2024年1月 新刊&おすすめ絵本記事)
公開日:2024/1/21
寒の入りで冬の寒さも本格的になってきました。こんなときはやっぱり温かいお鍋! シチューやカレーもいいですね。茹だった大根や、せいろで蒸しあげたふっかふかの豚まんなんて、もう最高です。こたつの上には、もちろんみかんも忘れずに。
どうですか? もうおなかが空いてきませんか?
こちら、冬のおいしいものを堪能できる絵本となっております。ほっかほかの湯気の気配まで伝えてくれる食べ物の数々にうっとり……。しかも、どれもこれもクスッと笑えるユーモアまで仕込んであって、心をぽかぽかにしてくれること間違いなしです。
絵本を読みながら、暖をとるように、ほこほこした気分を味わってみてください。
「ぱかっ」と開けば、ほかほかシチューにおでん! 大画面のごちそうに笑顔になっちゃう『あけてびっくり しかけえほん ふたをぱかっ』
あけてびっくり しかけえほん ふたをぱかっ
作・絵:新井洋行
みどころ
いいにおいがして来たよ。
あれ!何かな?おなべだね。
開けてもいいの?
「なべなべ なあに?ふたを…ぱかっ」
ええーふたが開けられるの?!
そうです。この絵本はしかけ絵本なので、ふたをぱかって開けられちゃう。
1ページ目でびっくりしたお子さんは、きっと2ページ目にはもうワクワクドキドキ、ニッコニコのはず。
ぱかっ!って一緒に言ってくれるかも。
バンバーグに餃子まで。大好きなものが出てくる楽しみもありますね。
途中に出てくる魔女なべは…ちょっとあやしい。でもこれもいいアクセントになりそう。
おなべに入れちゃダメなものばかり入ってるから、おっかしいねえって一緒に思いっきり笑えそう!
いないいないばあと同じで、隠れているものがパッと出て来たり、予想通りのものが出て来たり、
それが楽しくてたまらない時期があります。わかっていても何度も何度も繰り返す、そんな時期です。
大人は「またぁ?」って思うかもしれません。でもそういう時期は永遠に続くわけではありません。
本の内容が面白くて繰り返すだけじゃなくて、楽しい時間を共有したい気持ちがあるんですよね。
だから「これよんで~」って持ってきている間は、できるだけ向き合って読んであげてほしいな、と思います。
子育てが終わって振り返ってみると、永遠に思えた時期は意外とあっという間に終わってしまいます。
しかけ絵本は壊れやすいけれど、この絵本は心配ご無用。厚めの紙で頑丈でコンパクト。
お出かけの時にはバッグにポイッと入れて、お出かけのお供にぴったりです。
1歳前後から3歳くらいまでにおすすめです。
大根4きょうだいの入浴にブリが飛び入り!?『ちくわのわーさん』作者の岡田よしたかさんが描く、関西弁が絶妙な脱力系絵本『だいこんさん おふろに はいる』
だいこんさん おふろに はいる
作・絵:岡田よしたか
みどころ
「おふろ はいって きれいになろ」
そう言ってお風呂場に向かっているのは、大根のきょうだい達。
小さいの、ひょろ長いの、でかいの、太っているの。
見るからに個性的な4兄弟は、入る前に葉っぱを取ってもらい、タオルを頭にかけて。
彼らは今日、お料理をしてもらう日なのです。
かけ湯をして、体をしっかり洗い、みんなで仲良く湯船に入ります。
鼻唄なんて歌いながら、すごく平和な光景です。
なんだ、なんだ、この感じ。
岡田よしたかさんの描く食べ物たちは、いつも目や鼻なんて付いていないのだけれど。
足も手もはえていないのだけれど。
ものすごく、生きている!
体の向きを変えるだけで、会話まではずんじゃって。
おまけに湯船にはブリやくしカツさんまで入ってきて…!?
はしゃいでいた彼らは、そのまま自然にぶり大根にお料理されていくのです。
あんなに豊かな体の4兄弟、美味しいに決まってます。
「ぼくらが おかずやがな」
「あ、そやったな」
そこにあるのは大いなる違和感、だけど自然体でほのぼのしてて。
おまけに関西弁がしっくりきていて笑ってしまう。
『くしカツさんちは まんいんです』『はずかしがりやの バナナくん』に続く、岡田よしたかのユーモア絵本シリーズ第3弾も、やっぱりかなりクセになる面白さです。
おやつ大好きお殿さまが、家来総出の豚まんづくりで大騒ぎ。ふっかふか、あっつあつが食べたくなる『とのさまぶたまん』
とのさまぶたまん
作・絵:長野ヒデ子
出版社からの内容紹介
とのさまは食いしん坊。
毎日のおやつが待ち遠しくてなりません。
「そうじゃ、外国のお客様からもらうようなものが食べたい。あれ、あれじゃ! 」
と駄々をこねる、困ったとのさまに……。
『とのさま1ねんせい』『とのさまサンタ』に続く、シリーズ第3弾!
「おなべにするよー」土鍋どんが声をかけるも現れない『とうふちゃん』。ひややっこになりたいから、お鍋には入りませんって……!
とうふちゃん
作:あだちとも
出版社からの内容紹介
「おなべ」の材料といったら、ニンジン、長ネギ、白菜、肉、いろんなきのこ……、
そして、おとうふ。
どなべどんの「おなべにするよー」のひとことで、みんなゾロゾロやってきます。
ところが、とうふちゃんがこない。
やってきた!と思ったら……?
はたして、「おなべ」はでき上がるのか?
なんだかバカバカしくて、クセになる。
おもわず吹き出してしまう絵本です。
「おなべ」と同じく、頭と心がほかほか温まる。
熱々のうちに、ぜひどうぞ。
みかんが大好きなおばあさんの不思議なおまじない。『ぐりとぐら』の中川李枝子さんと山脇百合子さんによる『みかん<復刊傑作幼児絵本シリーズ 9>』
みかん<復刊傑作幼児絵本シリーズ 9>
文:中川李枝子 絵:山脇百合子
出版社からの内容紹介
みかんの大好きなおばあさんが、種をひとつぶ庭に埋めました。りっぱに育ったみかんの木。ひとつだけなった小さな実に、おばあさんは「チチン プイ」とおまじないをかけました。
Appleの駅にBananaの電車。AからZの頭文字から始まる食べ物でできた、夢いっぱいの街を探検だ!『たべもののまちABCity』
たべもののまちABCity
作:こた
みどころ
ABCityはたべものでできた街。引っ越しすることになった男の子と女の子が、りんご鉄道に乗って、ABCityの玄関口「Apple駅」に到着。さあ探検の始まりです!
「Bananaスキー場」は、雪がなくても一年中すべることができるバナナでできたスキー場。バナナスノボも人気です。スキーもスノボもバナナの皮でできているんだって!さっそく滑ってみましょう。
次に甘い匂いにつられてやってきたのは「Cakeデパート」。化粧品も、服も、家具も、おもちゃも、みんなケーキでできています。夢のようなデパートに、テンション急上昇! デパート内をぐるぐる探索したくなりますね。
食べ物で作られた空想都市を、AからZまで、アルファベット順に探検していくおはなし。「次のアルファベットはどんな食べ物だろう?」「どんな建物かな?」とワクワクしながらページをめくり続ければ、時間を忘れてしまいまいそう。細かく描きこまれたイラストには、たくさんのお楽しみが散りばめられています。きっと読むたびに新しい発見がありますよ。
作者は現役美大生であり、絵本作家、イラストレーターとしても活躍中のこたさん。著書『わくわく科学ずかん 古生代水族館』(大泉書店)ほか、空想の都市や海の生き物のイラストを多く手がける、大注目の画家さんです。本作は制作期間2年! なんと100ページ越えの超大作です。子どもも大人も夢中になること間違いなし。世界で一番おいしそうな街を、ぜひ皆さんも堪能してくださいね。
おなかが空いたウィンナーが、卵焼きをかじっちゃった! 弁当箱の中で起きる、はらぺこおかずたちの大乱闘『おかずだって はらがへるのです』
おかずだって はらがへるのです
作・絵:山﨑 たかし
みどころ
物語の舞台は、まだふたをあけられる前のお弁当の中。ふと目を覚ましたのはタコウィンナー。
「はら へった…」
タコウィンナーは、隣で目を覚ましたたまご焼きの頭をパクッ! ちょっとちょっと、おかずがおかずを食べたらダメだよね。
「だって おなか すいてるんだもん…」
さて大変。お弁当箱の中では、お腹をすかしたおかずは何を食べたらいいのか話し合いが始まった。そこでからあげが妙案を思いつくのですが……!?
登場するのは、可愛いお弁当のおかずたち。でも気がつけばびっくり仰天の展開に。可笑しいような、ちょっぴり怖いような。さてさて、お弁当箱のふたがあいた時、いったいどんな光景が広がっていたのでしょう。一風変わったお話が好きな子どもたちに贈る「おべんとう絵本」です。
【動画公開中】新たな一年をスタートする一冊 絵本・児童書
文:栗田奈緒子 編集:木村春子