子どもの「好き」を伸ばすきっかけに! かわいいが詰まった『アミとミアのプリンセス・ドレス』で“ひとり読み”デビュー

文芸・カルチャー

公開日:2024/2/7

アミとミアのプリンセス・ドレス かがみの国のときめきジュエル
アミとミアのプリンセス・ドレス かがみの国のときめきジュエル』(和田奈津子:著、七海喜つゆり:イラスト/KADOKAWA)

 大人になるにつれて、なりたい自分となれる自分は違うことがわかってくる。着たい服と似合う服も違う。だからみんな、自分の骨格や肌カラーのタイプを調べて、誰から見ても素敵な自分になれるように努力する。それはそれで大事なことだが、「自分は○○だから」に縛られて、全然好きじゃないものばかり選択し、気分があがらない日々を送るのでは本末転倒。誰になんと言われようと、めいっぱい自分の「好き」を堪能できる素敵な大人になってほしい――。そんな子どもたちへの願いがこめられた『アミとミアのプリンセス・ドレス かがみの国のときめきジュエル』(和田奈津子:著、七海喜つゆり:イラスト/KADOKAWA)。文章もイラストもおしゃれでかわいく、内容もふくめて、子どもたちがはじめて自分で読むのにぴったりな一冊である。

 おしゃれが大好きなアミの夢は、ファッションデザイナーになること。10歳の誕生日に向けて、短いスカートでリボンがいっぱいのピンク色の素敵なドレスをデザインする。しかし描いている途中で、このドレスは元気で明るい女の子が似合うだろうと消してしまう。そこで新しく、自分に似合う、ふんわりとした水色のドレスをデザインするのだが、そのデザインに心奪われたのが、かがみの国のプリンセス・ミア。

P8~9

 かがみの国のプリンセスは、10歳になると自分で仕事を選ぶことができるといい、ドレスショップを開くのが夢だったミアは、アミをデザイナーとしてスカウトしに来たという。反対するお母さん(つまり女王)に認めさせるため、ふたりでドレスをつくりはじめるのだが、最高の出来のはずなのに“何か”が足りない。そこで、その“何か”を探す冒険に出かけるのだ。

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 いいなあ、と思うのは、夢はひとりで叶えられなくても大丈夫、と描いているところだ。真逆の性格だからこそ、アミとミアは欠けているところを補って一緒に成長していける。パワフルなミアにつられてアミも堂々と「デザイナーになりたい」と言えるようになるし、思慮深いからこそ着る人にぴったりなドレスをつくれるアミがいなければ、ミアのドレスショップも成り立たない。

P44~45

 冒険を通じて、ふたりが「着る人をいちばん輝かせるためのドレスをつくりたい」と思うようになっていくのも、いい。逆に、着たい服を思いっきりおしゃれに着こなすために、最高の自分になろうと思えることもある。誰かにジャッジされるためではなく、自分のことを大好きになるために「おしゃれでかわいい」を武器にしていくふたりの姿に、読んでいると大人の自分も励まされるような気がする。

 自分の「好き」を大事にして夢を叶えていくふたりの冒険は、きっと、子どもたちの希望にもなるだろう。物語に触発されて、子どもたちが自分だけのドレスをデザインしはじめたら、未来のデザイナー誕生の兆しかも?

文=立花もも

◆書誌情報『アミとミアのプリンセス・ドレス かがみの国のときめきジュエル』

https://yomeruba.com/product/other/322206000461.html