横山　そもそもあなたが結婚したいなら、ごちそうをしてくれるとか、かわいいとほめてくれるとか、デートが楽しい相手かどうかってことは、重要じゃないんです。まず、「あなたに対して結婚願望があるかどうか」。これが重要なんですよ！

A子　えっ、そうなんですか……？　どんな人でも、つき合って1年くらいたてば、自然に結婚を考え始めるものだと思ってたけど、そんなことないのか……。

第一章 ナースになりたてはモテるが長くは続かない

　A子は「自分自身が本当に結婚したいのか、一度真剣に考えてみます」と言い、相談所を後にする。そして2ヶ月後に「入会したいです」と再び訪れたのだ。「いい感じ」になっていた彼に「結婚について考えてほしい」とLINEしたところ、未読スルー、それ以降も既読がつかず、自然消滅。「なんとなく」のつき合いで数年をむだにする前に気づいてよかった、と自分に言い聞かせるようにA子は横山に話した。

　入会後、ホテルのラウンジでの1時間ほどの「お見合い」を何度か行ってみて、A子はこう語る。

A子　今まではお酒の勢いを借りて、その場のノリだけで会話をして、わーっと「好き」な気持ちが盛り上がって楽しく過ごす。それが「恋愛」だと思っていたんです。でもお見合いの席ではお互いの条件がわかっていて、粛々と関係性が進んでいく気がして。気持ちが置き去りになるような、いきなり自分の核心をさらけ出していくような恥ずかしさがあるんです。（中略）あ、結婚ってそういう、なんていうか価値観のすり合わせが大切なんだな、って。

　ここまでお読みいただいて、みなさんにもわかるだろう。確かに本書に書かれているのは「ナース専門結婚相談所」のエピソードだが、ナースでない人々にとっても有益な婚活情報が詰まっているのだ。目次を見てほしい。ウッ、となってしまう文句なのである。「第二章　3年におよぶ不倫で熟年夫婦化！気づけば32才。急に焦りが…」「第五章『ビビッとくる』運命の人と結婚したい！？そのセンサー壊れてませんか？」

　ぜひ本書を覗き見て、彼女たちの物語を参考にしてほしい。私たちが「理想の日常」を送るために。

文＝高松霞