自分だけの基準で自分を否定していない?「頑張っているよ」と言ってくれる声にも耳を傾けて/自分を否定しない習慣
公開日:2024/2/4
人間関係が苦しい、周りの人と比べて落ち込んでしまう、自分で自分を認められない――。それらが原因で生きづらさを感じている方はいませんか?
嫌なイライラ、怒り、つらさがスッと消える“4つの習慣”を、これまでに4000人以上看取ってきたホスピス医・小澤竹俊先生が考案。著者累計50万部を超える名医が、一度きりの人生を自分らしく、好きに生きる方法を教えます。
私たちは誰もが、いつか必ずこの世を去ります。そのとき、自分自身に対して「お疲れ様でした」と思えるように、本当の自分らしさを見つけ、後悔のないよう前を向いて、今日という一日を生きていきましょう。
※本作品は書籍『自分を否定しない習慣』(小澤竹俊/アスコム)から一部抜粋・編集しました
信頼できる人の言葉に耳を傾け自分を否定する気持ちに気づく
信頼できる人の言葉に、素直に耳を傾けること。
それは自分を否定する気持ちに気づく、一つの方法だといえるかもしれません。
たとえば、「親が常に不機嫌なのは、僕が悪い子だからでしょうか?」と悩んでいる子どもに対し、「そうだね、あなたのせいですね」と答える人は、ほとんどいないはずです。
あるいは、仕事でも勉強でも、限界まで頑張っている人が「自分はまだ努力が足りない」と言っているのを聞き、「たしかに、努力が足りないな」と思う人も、ほとんどいないでしょう。
多くの人は「いや、あなたはもう十分に頑張っているよ」と思うはずです。
このように、自分を否定している人は、しばしば自分だけの基準で自分自身をジャッジしており、その基準は、世間一般の基準とはかけ離れていることが少なくありません。
もし、「自分には価値がない」「まだ努力が足りない」「私のせいだ」と思っているあなたに、誰かが「あなたが存在してくれて嬉しいよ」「あなたはもう十分頑張っているよ」「あなたのせいではないよ」という言葉をかけてきたら、その言葉にぜひ耳を傾けてみてください。
それが、自分を否定する気持ちに気づくきっかけになるかもしれません。
自分が感じたことを否定しない
また、自分の気持ちを否定しないことも大事です。
たとえばあなたは、「つらい」「しんどい」という気持ちや、他者に対する嫌悪感、憎しみなどの気持ちがわきあがってきたとき、「そんなことを考える自分はダメだ」と考え、気持ちを押し殺したりしていませんか?
私たちは患者さんの話を聴くとき、「反復」と「沈黙」を大事にし、ゆっくりと時間をかけるようにしています。
たとえば、患者さんがスタッフに「昨日、トイレに間に合わず、恥ずかしい思いをしました」と言ったとします。
そのとき、「歳をとれば、みんなそうなりますよ」などと答えるのはもちろん問題ですが、「少しくらい漏れたとしても、尿漏れパットがあるので、気にしなくて大丈夫ですよ」などと答えるのも、実は好ましくありません。
良かれと思って発した言葉でも、患者さんは「自分の気持ちが否定された」と感じるからです。
ここで大事なのは、あくまでも「昨日、トイレに間に合わず、恥ずかしい思いをしました」という患者さんの言葉をそのまま受け止めることです。
ですから、私たちは、「昨日、トイレに間に合わず、恥ずかしい思いをしました」と言われたら、「昨日、恥ずかしい思いをされたのですね」と患者さんの言葉のうち、重要なキーワードを反復します。
その後、患者さんが口を開くまで、こちらからは話しかけずに沈黙し、「今までは、トイレに間に合わないことなんてなかったのです」と言われたら、「今までは、間に合わないことはなかったのですね」と反復します。
相手の言葉をそのまま受け止め、反復と沈黙を繰り返す。
非常に難しいことではありますが、そうすることで患者さんは、私たちのことを「自分の気持ちをわかってくれている」と感じ、少しずつ気持ちを話してくださるようになります。
そしてこれは、自分自身の気持ちに対しても同じだと言えるでしょう。
今後は、自分が感じたこと、思ったこと、言いたいことを、できるだけ否定しないであげてください。
「そうか、私はこう感じたんだね」「私はこう思ったんだね」「私はこれが言いたいんだね」と、そのまま受け止めてあげてください。
自分自身が感じたことを尊重していく。
それも自分自身を肯定することにつながっていくのではないかと、私は思います。
<第3回に続く>