世の中にいる「いい人」を集めたほっこり図鑑『いい人すぎるよ図鑑』。いい人No.18は「カラオケで人が歌っている時、スマホを見ない人」
公開日:2024/2/29
ご近所付き合いは無く、スーパーとコンビニはセルフレジ。リモートワークで人と直接会って話す機会が無い…人との関係が希薄になりがちな現代社会だからこそ、ちょっとした人の温かさや優しさに触れることで救われた経験がある人は多いのではないだろうか。
『いい人すぎるよ図鑑』(明円卓、佐々木日菜、真子千絵美/PHP研究所)は、記憶をたどれば「こういう優しい人、いるいる~!」と思い当たるような「いい人」を100人紹介している図鑑だ。
本書では、「仕事・学校のいい人」「趣味・遊びのいい人」「食事のいい人」「生活のいい人」と日常のシーンごとにパートが分かれており、それぞれの場面で見られる「いい人」がイラスト付きで紹介・解説されている。
たとえば、人がやりたがらないことを率先して行動に移してくれる人。
いい人No.5「質問タイムで誰も手を挙げなかった時に発言する人」
いい人No.36「ライブで一番最初に誰よりも大きな声で「アンコール!」と叫んでくれる人」
また、自分がされたら少し悲しいことや、いやだなと思うことはしない人。
いい人No.10「忙しい時でも、話しかけたら一旦PCを打つ手を止めてくれる先輩」
いい人No.18「カラオケで人が歌っている時、スマホを見ない人」
不安があることに対して、応援や後押しをしてくれる人。
いい人No.29「「あともう少しですよ~!」と励ます、下山している人」
いい人No.57「水をこぼされた時に「涼しくなった~~」と冗談で笑わせてくれる人」
いい人No.62「居酒屋で頼んだ時「い~ね~」と言ってくれる人」
どうだろう。心当たりはないだろうか。一つひとつを見ると、当たり前すぎて「これがいい人なの?」と思う人もいるかもしれない。だが、誰かのために思いやりを持って行動したことは誰かにとっての救いになっていて、私たちはこの「持ちつ持たれつ」に助けられて生きてきたんだということを思い出させてくれる。
自分のことを日常的に「いい人」だと自覚している人はそれほど多くないと思うが、本書を読めば誰もが「これは私もしたことがあるかも」と思えるページに出会えるだろう。本書を通して自分も「いい人」だったんだと気づくことができ、周囲にしてもらった親切を思い出せる。そして、「こんなことでいいなら、自分にも出来そう」とすら思えてくる。「いい人」への解像度を上げれば、周囲に「いい人」はどんどん増えていきそうだ。
本書には「いい人探し」や「いい人すぎるよクイズ」というページもあり、イラストを見て「どんないい人だろう?」と考えるページがちりばめられている。日常の優しさや思いやりに鈍感になっている私たちにとっては意外と難しいので、しっかり訓練して「いい人」に気づけるようになりたい。
世の中に隠れる「いい人」。それはかつての自分かもしれないし、あの日親切にしてくれた通りすがりの人かもしれない。身近にいるけど普段気づけない「いい人」にスポットを当てた本書を通して、「いい人」に気づき、感謝できる心を育てよう。
文=鈴木麻理奈