『魔女の宅急便』の児童作家・角野栄子さんの人生を輝かせる魔法とは? センス満点な暮らし、おしゃれの秘訣、物語のルーツを大公開!
公開日:2024/2/14
『魔女の宅急便』が代表作として知られる、児童作家の角野栄子さん。お正月に89歳になった今も現役作家として、精力的に作品を生み出し続けています。
執筆において「誰よりも楽しむこと」をモットーとしている彼女のトレードマークは、ちょっぴり個性的なめがねとヴィヴィッドな色使いのファッション。自宅のインテリアも、自分の「好き」に素直に、自由で心地よいものを集めていたら、カラフルに。そうやって過ごしていたら、いつしか自然と「カラフルな魔女」になっていたといいます。
そんなキュートな魔女の日常に密着した映画『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』が、2024年1月26日(金)より全国の映画館で公開中。その公式ガイドブックでは、角野さんならではのセンス満点な暮らしぶりや、おしゃれの秘訣、そして作家としての感性に触れることができます。この記事では、本書『カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし』(KADOKAWA)から、少しだけその様子をお届けします。
ふふっ、と思わず笑みがこぼれるような「魔法の料理と暮らし」
料理は、手の込んだものを作るというより、素材にこだわってシンプルにおいしくいただくことのほうが多いとか。仕事終わりにバタバタッと作るからそう呼んでいるという「バタバタバターライス」など、オリジナルのレシピも紹介されています。手抜きに見える料理でも、決して愛がないわけではなく「贅沢なご飯というより、本当においしいと思える、自分の好きなものが良いわよね」と角野さんは言います。
鎌倉に住む角野さん。「水平線って何か生まれる感じがする」と、ワクワクした気持ちをくれる、大好きな海に立ち寄ることもあります。砂浜では古い陶器のかけらを見つけては、「海のかけら」と呼んで持ち帰り、コレクションにしているそう。陶器を使った人の「昔」に思いを馳せる、そんな瞬間も物語につながっているのかもしれません。
コーディネートを拝見!「カラフルな魔女」
サッと羽織るだけでおしゃれが決まるアトリエコートは何着も持っているそう。カラフルで個性的なめがねを選ぶのは、「面白いめがねをかけていたら、顔のしわが見えないじゃない。そういう、魂胆(笑)」とおちゃめな理由から。身に着けるものの選び方や、好きな理由をたっぷり語る姿は、とっても楽しそうで、本書を読んでいるだけで元気をもらえます。
物語のルーツはどこに?「作家・角野栄子」
何気なく描いた落書きが、作品のアイデアになることも。これは、たてがみをアンテナのように立てて、いろんなことをキャッチする「ライオンのオンライン」。「気に入っているの。おもしろいでしょ?」と角野さん。
作家デビュー作の『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』のもとになった、ブラジル在住時代に出会ったルイジョンニさんとの話や、『魔女の宅急便』に影響を与えた、両親から教わった「見えない世界のこと」など、角野さんのルーツにも触れています。関連する作品も読めば、その作品をより深く楽しめるかもしれません。
食事や散歩、毎日の執筆活動。日常の何気ない場面においても、「これいいな」「素敵だな」「好きだな」の感覚を大切にしている角野さん。その感覚を研ぎ澄ませて、自分を大切にして生きること、それ自体が人生を輝かせる“魔法”なのかもしれません。
私たちは作家ではないけれど、“魔女見習い”として少しずつ角野さんを見習っていけば、いずれ自分自身を幸せにするくらいの小さな“魔法”は、使えるようになるのでは? そんな楽しい想像まで膨らんでくる、心躍る一冊でした。
文=三浦小枝