「夏休み中に彼女を作る」まで8月31日から抜け出せない! 夢の国・図書館・カラオケの定番デートがエモキュン『8月31日のロングサマー』

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PR 更新日:2024/5/31

8月31日のロングサマー
8月31日のロングサマー』(伊藤一角/講談社)

 お正月にはみなさん、今年の目標を立てられたことと思います。2024年もあっというまにひと月が終わってしまいましたが、その目標に向かって行動することができていますか? ……私はぜんぜん、できていません。

 その点、『8月31日のロングサマー』(伊藤一角/講談社)の主人公、男子高2年生の鈴木鷹也はすごくエライ。自分で立てた夏休みの目標、「彼女を作って童貞を捨てる」を達成すべく、日々行動しているから。

 前巻に引き続き2巻でも、8月31日の午後一時、鷹也は待ち合わせをしている。二度と来ないはずの高二の夏休み最終日──8月31日を1か月以上ループしている彼の待ち合わせの相手は、高校生の高木佳夏。鷹也と高木さんは、この世界でたったふたりだけ、翌日の8月31日に記憶を繰り越せる、いわば同志的存在だ。女性に対する免疫がまるでない鷹也は、当然高木さんのことが好きになる。そんなふたりが、毎8月31日に公園などで落ち合って、ループの原因である(かもしれない)鷹也の心残り、「夏休みに彼女を作って童貞を捨てる」を解消しようと奮闘(?)しているのだが……。

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 いやあ、本作、さすがアオリに「出し惜しみをしない」と書かれていただけあります。ファミレスデートに、プール、おうちデートとたたみかけてきた第1巻に続き、今回の第2巻も、みんな大好き夢の国、図書館デートにふたりカラオケと、追い打ちをかけてきます。

 見た目はイケメン、頭脳はキモメンの鷹也も、高木さんから一度拒絶されたくらいでは諦めません。そもそも、進学校に通う鷹也の原動力は、「解らないことを解るのが好き」ということ。鷹也は女の子の気持ち、とりわけ好きな人の気持ちを知りたくて、高木さんとの距離を縮めていくのですが……。

 高校時代は遥か昔なお兄さんお姉さんなら、こんな気持ちを甘酸っぱく思い出すでしょう。鷹也たちと同年代の読者なら、自分のことのようにドキドキするでしょう。ちょっとしたおしゃれだって、図書館でする勉強だって、進路の悩みの相談だって友だちの恋愛成就を見守ることだって、好きな人と一緒ならすべて特別です。

 それに、第2巻まで読んでこそ際立つ事実。このふたり、同じ8月31日を繰り返しているように見えて、同じ8月31日はないのです。同じように見える会話のシーンも、その日のふたりの行動によって、会話の内容が違ってくる。そうなると、8月31日をループしている彼らもやっぱり、「二度とない」夏休み最終日を過ごしているというわけで……いいですねえ、青春。

 初めて恋に向き合ったときのひたむきさを思い出し、ちょっと前向きな気持ちになれる青春タイムループコメディ。ギュンギュン縮まるふたりの距離に、今すぐ続きを読みたくなっても大丈夫。第3巻は2024年2月発売です!

文=三田ゆき

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