伊藤美来×豊田萌絵でアニメ化『声優ラジオのウラオモテ』。ラジオオンエア中は超仲良しな声優女子高生2人…でも収録後は嫌味と罵りの応酬!?
公開日:2024/2/26
どうしてもウマが合わない人というのは、誰にでもいるだろう。私生活やひと時の関係であれば、それ以上距離を縮めなければ問題はない。しかし仕事は別だ。たとえ合わないと感じても、割り切って関係を続けなければいけないときがある。きっとそんな状況を苦痛に感じる人は多いはず。あなたなら、この状況をどう切り抜けるだろうか。『声優ラジオのウラオモテ』(巻本梅実:漫画、二月公:原作、さばみぞれ:キャラクターデザイン/KADOKAWA)に登場する2人の女子高生のように「歩み寄ってみる」という選択をしてみるのも一つの手段なのかもしれない。
本作の主人公は、佐藤由美子と渡辺千佳。2人は同じ高校で同じクラスの2年生で、事務所は異なるがプロの声優だ。高校ではこれといった接点はなく、むしろ些細なトラブルが原因で、教室で喧嘩をしてしまうほどウマが合わない。お互いに声優であることも明かしていない。しかしある日、声優ラジオ番組の初顔合わせで由美子は千佳と遭遇。加えて2人が声優同士であること、これから始まるラジオ番組のメインパーソナリティーであるという事実も判明してしまう。学校で周囲が引くほどの喧嘩をしただけではなく、お互いに「あの人とは合わない」と感じてしまっているがゆえに、先が思いやられるが、そこはさすがプロ。収録中はそれぞれのキャラを演じ、2人は仲良しの同級生という設定も貫いていく。その反動からか、曲が流れている間や収録が終わったあとの2人のいがみ合いはすさまじい……。
果たしてそんな状態で、2人はこのままラジオ番組を続けていけるのか。物語の序盤を見る限りは、誰もが同じように思うだろう。ただ由美子も千佳も高校生。さまざまな出来事を機に、少しずつ歩み寄り、打ち解けていく。きっかけは、お互いに抱えている悩みが露になったときだ。由美子の悩みは声優としての力量不足。業界では「それなりにいい」という評価を受けているが、千佳ほど多くの仕事をもらえているわけではない。そんな力量不足の自分を自覚しているからなのだろう、与えられた仕事には全力で立ち向かい、がむしゃらに結果を出そうとする。一方、千佳は、「アイドル声優・夕暮夕陽」というキャラと自身の差に葛藤。「夕暮夕陽=嘘の自分」という考えが強く根付いているため、本当の自分を出せないアイドル声優をずっと続けられるか悩んでいるのだ。
それぞれの悩みが露になるのは、いつもお互いが目の前にいるとき。特に千佳はラジオ番組の公開収録前に、もうひとりの自分をリアルな場で見せることに苦しくなり、緊張となって表情に出てしまう。そんな千佳を見た由美子は、あえて「本当にしょーもない」とけなすことで鼓舞し、戸惑う千佳の気持ちをすくいあげる。他のシーンでも、2人は大事な局面でお互いを支え、鼓舞し、窮地を乗り越えていくのだが、もしかすると、仕事に関して2人の相性は意外といいのかもしれない……?
仕事において支えあい、切磋琢磨できる存在はとても貴重だ。きっと由美子と千佳の声優としてのキャリアにも、大きく影響していくだろう。今後2人はどのような道を進んでいくのか、温かく見守っていきたい。また2024年にはアニメ化を控えている。2人の声を演じるのは、伊藤美来と豊田萌絵の予定だ。今から原作をチェックしてみては。
文=トヤカン