計算不要でキリのいい金額のお釣りをもらうコツなど、日常生活で役立つ数学の考え方を楽しく伝授!
公開日:2024/2/14
お釣りをキリのいい金額でもらいたい。でも、いくら出せばいいのかわからず、結局お札1枚で払ってしまう。そのため、財布は小銭でいっぱい。数字が苦手な人にありがちかもしれない。計算が得意だったなら、きっとこんなことにはならないのに……。
私のような文系脳は、数学的な考え方に一種のアレルギー反応を出してしまいがち。それでも数学的な考え方は面白い! そう教えてくれるのが『文系オトナですが、今から数学を楽しめますか?』(math channel、横山明日希/笠間書院)だ。著者のmath channel(マスチャンネル)は横山明日希氏が代表を務める、老若男女すべての人に数学の楽しさを広める活動をしている企画グループ。そんな彼らが教えてくれる生活の中の身近な数学的考えを楽しむコツを紹介しよう。
計算せずにキリよくお釣りをもらうには
キャッシュレス決済が普及して現金払いの機会は減ってきた。たまにしかないからこそ、上手くコントロールして小銭が増えないようにしたい。実はこのお釣りコントロール、計算しなくても簡単にできる。ポイントは2つ。ポイント1「小さい貨幣から払う」、ポイント2「必要な枚数がなければ1つ大きい貨幣を出す」だ。
例えばこんな時。
会計 1368円
財布の中身
1000円札×2枚、500円玉×1枚
100円玉×3枚、10円玉×1枚
5円玉×1枚、1円玉×3枚
まず1つ目のポイントに従い、8円を1円玉と5円玉で出す。10の位は、10円玉と50円玉で60円にしたいが、50円玉がない。ここで2つ目のポイントに従い、10円玉1枚と、50円玉の代わりに100円玉を出す。
100の位は、先ほど100円を1枚出したので更に300円出すにはまた数が足りない。ここでも100円玉合計4枚の代わりに500円玉を出す。そして最後に1000円札を1枚。これでお釣りは150円になる。
文字にすると少し複雑に感じてしまうかもしれないが、計算しなくても必ず答えが出るので、慣れてしまえば支払い時の計算が劇的に速くなるはず。これも数学の面白いところだ。
イメージに惑わされがちな「確率」
「確率」を考える時、あなたならどの程度で「起こらない」と感じるだろうか。例えば、当選確率33%の抽選。これなら、運が良ければ当たる気がする。5%なら、当たらないだろうけど、奇跡が起これば……と思うかもしれない。これが0.5%になると、「どうせ当たらない」と希望を持たなくなる。大体こんなイメージではないだろうか。
確率を考えるのに最も身近なのが、じゃんけんだ。ふたりでじゃんけんしてあいこになる確率は、計算すると33%。2回連続あいこは11%。3回連続は3.6%、4回連続は1.2%、5回連続は0.4%になる。
当選確率5%の抽選には奇跡を願うのに、それよりも低い確率の3回連続あいこは「意外とある」と感じないだろうか。5回連続のあいこも、絶対ありえないとは思わないはずだ。
このことから、計算上の確率と、数字に対する私たちのイメージには、差があることがわかる。数字だけを見て諦めず「3回連続あいこはよくあるんだから、5%ならいける!」と思えれば、ポジティブに受け止められそうだ。
シンプルながら奥深い テンパズルのすすめ
数学を学ぶ方法は問題集を解くばかりではない。クイズやゲームにして、楽しむことが一番の近道だという。電車の中でのちょっとした暇つぶしにもなり、意外とハマる数学遊びを紹介しよう。
紹介するのは、「テンパズル」。ナンバープレートや電話番号の下4桁など、4つの数字を「+、-、×、÷」や「( )」を使って答えが10になるように式を作る遊びだ。
シンプルだけどなかなか難しい。実は、0を除く異なる数字の組み合わせなら、必ず10にできる。計算が苦手だと「これは答えが無いのではないか?」と諦めたくなってしまうけれど、必ず作れるとわかっていれば答えが見つかるまでチャレンジしてみようかな、と思えるのでは?
ちなみに「1234」の場合、答えは1つではない。「1+2+3+4」「3×4-1×2」など複数の解を考えることもできる。何かの番号や思いついた数字からすぐに考えられるので、手軽な頭の体操にオススメだ。
本書では他にも、ホールケーキを6等分する方法や、人が1年に飲む水の量を計算する方法など、数学を使った身近な問題を紹介している。図を交えながら、考え方を文章で解説しているので、数字が並ぶと眠くなってしまう人でも楽しく読み進められる1冊だ。
文=冴島友貴