2000軒以上の建物を見た土地調査士が教えるヤバい住人の見分け方。引っ越しの時に参考にしたいお宅プロファイリング術とは?
公開日:2024/3/9
隣に住む人を知っているだろうか。今、隣人の顔や名前すら知らない人が増えており、現代は人との関わりが希薄になったと言われる。その一方で、隣人が夜遅くに物音をたてて眠れない、隣の木の枝が自宅の境界を越えてきて揉めた、など、不満があったり困ったりしている話がなくならないのは何故だろう。引っ越す前にもっとまわりに住む人について予想がたてられたら、トラブルを回避できるのではと思ってしまう。
『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』(平田真義/自由国民社)は、家を見るときのポイントを具体的なエピソードと共に紹介してくれる1冊だ。著者は、土地家屋調査士として土地や建物の測量作業を2000軒以上行ってきた。依頼主の周囲のお宅を訪ねて、境界線確認の立ち会いをお願いしなければならない大変な仕事だ。著者は、お宅訪問の経験と心理学をかけ合わせて「ふた(玄関)を開ける前に住人のことがわかる」ようになったと語る。
庭やベランダは綺麗? ポイントをおさえてお宅を見るべし
著者によると、お宅をプロファイルする時の見るべきポイントには、表札、ベランダ、庭、塀、駐車場がある。どういった見方があるのか例を挙げてみよう。
ポイントの1つに庭がある。庭がジャングルのようになっていたり、使っていないものがてんこ盛りだったりと、心に余裕があるとはいえない人の家になる。一方ですっきり余白があれば、心にゆとりがある。実際に、ジャングルのように木々が生い茂り日当たりの悪い家に住む不調そうに見える人が、建て替えてキレイな庭の家になったら元気になることがあったそうだ。日当たりが心身に影響を与え、樹木が多すぎれば目隠し代わりになり犯罪すら招いてしまう。このように庭ひとつとっても、手入れがされてるかどうかで、家人の状態を予測できてしまう。ぜひ覚えておきたい。
“どれだけ立地がよく、快適な環境であっても、厄介な人がご近所にいたらおしまいです。”
プロファイリングのポイントを知っておけば、まわりの家の状況をある程度判断し、厄介事のある場所を回避できる確率がグッと上がるだろう。引っ越しを検討している人や、家・土地を購入したい人はもちろん、不動産にまつわる仕事をしている人に手にとってほしい本だ。
裏を返せば、自分が気付かないうちに厄介な人になっていないかのチェックもできる。私は東京の住宅密集地に住んでいるため、関係希薄なご時世に逆行するようにご近所との関係に気を遣う。隣家との間に塀が無いせいで室外機の風が隣家に直撃し、怒鳴り込まれたご近所もいた。いきなり怒鳴り込んでくる人は怖くて嫌だが、どちらが厄介ものなのかは立ち位置によって変わってくる。いつ自分が、迷惑な側にまわるか分からない怖さを感じる。自分のせいでまわりを厄介な人にしているかもしれない。引っ越す予定が無い人でも、自身と家を顧みるために本書をおすすめしたい。
「住人が住まいを大切にすると、住まいからも住人を幸せにするための目に見えないフィードバックがある」と、著者は述べる。風水で邪気がたまるとされる丁字路に住んでいたとしても、住む人が家や土地を大切にして心が通じあっていれば、「相互に影響を与え合う。まさに相思相愛の関係が生まれるのです。」と。
文=山上乃々