今は“ワーママ3.0”の時代?仕事と育児への向き合い方をつづった漫画に共感の声続々【漫画家インタビュー】

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公開日:2024/3/4

今は「ワーママ3.0」の時代。体験談の交換をすることで、自分の座標が見つかる

 まぼさんが勤めていた会社では「ワーママ座談会」という取り組みがあったという。

「私が参加したときが初回だったんですが、その後も開催されています。参加してみて、“ワーママ”って1つの人格で語られがちですが、そうではないということにハッとしましたね。ちょうどそのころ、私は内装設計を担当していて、いわゆるクリエイティブな部門にいました。そうすると、子どもがいてもフロントに立ちたい、この仕事を続けたいと考えている人が多くて、私自身も“ワーママ”に対してそういうイメージを持っていました。でも、実際はグラデーションがあるんです。以前は仕事に比重を置いていたけど、子どもが小学校高学年になるまではフロントには立ちたくないという人もいれば、両親が若くて子どもを見てもらえるから『ワーママってそんなに大変?』っていう人もいる。両親が他界されていたり介護が必要だったりして頼れないという人もいる。さまざまな事情を持つ人がいると実感しました」

“ワーママ”とう言葉に対して、まぼさんは次のような印象を持っているという。

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「ワーママ1.0は『女性は結婚したら家庭に入るべきだ』という風潮の中で頑張ってきた人たち。ワーママ2.0は社会が『ワーママ頑張れ』と制度を整え始めてきたころ。そして現在は3.0の時代に入ってきていると思うんです。3.0は仕事や育児に対しての向き合い方にグラデーションがあって、ひとくくりにするのではなく、社会や組織の中でそれぞれの座標を見つけていく時代なんじゃないかな、と」

 すでに退職されているが、まぼさんが勤めていた会社では子育てをしている社員へのサポートはどのような状態だったのだろうか?

「仕組みはできているけど、上司によってはそれがうまく機能していないというのがありましたね。人事や管理系の人たちは仕組みを理解しているから、チームで回していこうという意識があるんですが、結局それを上長が理解していないと属人的な動きになっちゃうんですよね。『実家のお母さんや旦那さんに頼れないの?』みたいな話になってしまって。夫婦で時間というパイを取り合うのは不毛だという話を描きましたが、会社でも同じことが言えると思います。母である女性社員を休ませないために、父である男性社員が休めばいいという単純な話ではないですよね。理想を言えば、会社ごとに病児保育の機関と提携しているところがあるとか…なかなか難しい話ですが」

 育児と仕事の折り合いをどうつけていくか模索していく中で、人の体験を聞くこと、自分の体験を語ることの重要性を感じているという。

働く私と病気の子どもたち

「ワーママ座談会でもキーワードが出たんですが、以前はロールモデルを見つけようと言われていましたが、これだけ多様化している社会の中で、自分とまったく同じような働き方をしている人は難しいです。なのでパーツモデルという『この人のこういう部分を参考にしよう』という考え方があっているんじゃないかと思います。自分の体験を100として語って、それを同じものを環境も背景も違う相手に求めるのは違いますが、体験を交換していくことで自分が目指すべきマップができあがっていくんだろうと思いますね。いろいろな人の話を聞いたことで、今の自分の座標があると感じています」

 となると、まぼさんの漫画も誰かのパーツモデルになっていくのかもしれない。そう話すと「モデルにはなれないかもしれないけど、子育て期間は赤字でもいいからシッターさんや家事代行の方に依頼してみたり。保育園のお迎え後、私しか大人がいないですから、上の子か下の子のどちらかを放っておくことになってしまうのが辛くって、子どもときちんとコミュニケーションを取ってくれる大人手が欲しくて依頼していました。真剣に子どもに向き合って遊んでくださるので、子どももよく懐きましたし、非常にありがたい存在でした。自分たちにマッチするシッターさんを探すのは大変ですが、頼れるところには頼っていくことが大事なんではないかと思います。説教くさくはなりたくないけど、こうした育児の日々を漫画にして発信していくことで、読んでくださった方が『子育て無理、詰んだ』と思わずそれぞれのご家庭で攻略方法を考えるきっかけになっていったらうれしいですね」と語るまぼさん。どう働くか、どう子どもと向き合うか。自分に合った道を模索するためにも、他の人がどうしているのかという体験談が非常に有効なのだろう。新しい形での働き方を見つけたまぼさんが、これからどういった漫画を描いていくのか期待したい。

取材・文=西連寺くらら