声のかすれは衰えのサイン! メリットしかない声帯を鍛えるべき理由
公開日:2024/3/19
「入浴中にウトウトしてしまう」「最近、つまずきやすい」「食事中によくムセる」―― ひとつでも思い当たったら、風呂カラオケの始めどきです。お風呂はうまく歌えて気分があがり、「のど」のトレーニングにも最高のひとりカラオケボックス。そして、歌えば全身への御利益があります。
誰ともしゃべらなかった日にも「発声」できる。のどの調子で「今日の健康状態」がわかる。記憶と感情が活性化、認知症が遠ざかる。胃腸のマッサージになり便秘解消。ムセたりよろけたりしにくくなる。そして、お風呂で溺れない。
入浴中の事故防止、誤嚥予防に毎日10分、世にも簡単でお得な健康法を、のどと声の専門医がおすすめします。
※本記事は『毎日10分 長生き風呂カラオケ』(渡邊雄介/中央公論新社)から一部抜粋・編集しました。
のどの奥の2枚のヒダ、「声帯」の神秘
では、声は、どうやって出ているのでしょう。
声を出すときに、筋力が大きくかかわっていると言われても、ピンとこないかもしれませんね。実は、のどの筋肉こそ発声の基盤。
カナメは、のどぼとけの内側にある「声帯」です。
直径約1・5cm、左右2枚で一対の粘膜のヒダで、息を吸うときは開きます。
声を出すときには、吐く息が閉じられた声帯のすき間を通ってヒダを震わせます。
赤ちゃんの産声「オギャー」は、生まれて初めて息を吸い、息を吐いたサインです。
発声中の声帯は、1秒間に100~200回も細かく振動しています。
声帯がぴったり閉じてよく震えるほど、つややかでよく響く、いい声が出ます。
声帯の周囲には小さな筋肉がいくつも存在していて、私たちはその筋肉を無意識にコントロールすることで声帯を動かし、震わせ、声を出すことができています。
私は、声帯の振動を支える筋肉群のなかの5つを「声筋(こえきん)」と名づけました。
声筋が衰えたり、トラブルが起きたりすると声筋がぴったり閉じられなくなり、声のかすれや変化という形で表れてきます。
足腰の老化と同じく、声帯の衰えかたも、人によって全く違います。
加齢とともに声帯が痩せてきて、声を出すときに閉じるはずの声帯がいつも開きっぱなしになり、ヒューヒューと空気が漏れるような、気の抜けた声になる人がいます。
声帯の粘膜が乾燥しやすくなる人もいます。うるおい不足になると、声帯のなめらかさと弾力が失われ、声が低くなったり、かすれたりします。