高齢者はなぜ誤嚥性肺炎になりやすいのか? 誤嚥を防ぐ最強トレーニング
公開日:2024/3/20
「入浴中にウトウトしてしまう」「最近、つまずきやすい」「食事中によくムセる」―― ひとつでも思い当たったら、風呂カラオケの始めどきです。お風呂はうまく歌えて気分があがり、「のど」のトレーニングにも最高のひとりカラオケボックス。そして、歌えば全身への御利益があります。
誰ともしゃべらなかった日にも「発声」できる。のどの調子で「今日の健康状態」がわかる。記憶と感情が活性化、認知症が遠ざかる。胃腸のマッサージになり便秘解消。ムセたりよろけたりしにくくなる。そして、お風呂で溺れない。
入浴中の事故防止、誤嚥予防に毎日10分、世にも簡単でお得な健康法を、のどと声の専門医がおすすめします。
※本記事は『毎日10分 長生き風呂カラオケ』(渡邊雄介/中央公論新社)から一部抜粋・編集しました。
誤嚥を防ぐ、のどのフタで、
「空気は気道」「飲食物は食道」に仕分けられる
のどの筋肉の任務はいろいろあって、「誤嚥を防ぐ、のどのフタ」の開閉も担当しています。
2006年からの11年間に、食べ物をのどに詰まらせて窒息死した国民は約5万2000人。うち75歳以上が、73%を占めていました(厚生労働省人口動態調査)。
年間約3500人の後期高齢者が、食事のとき窒息して亡くなっている計算です。
のどにはフタ(喉頭蓋)があり、「空気は気道から肺へ」「飲食物は食道から胃へ」と、私たちの意思とは関係なく、交通整理をしてくれています。
たとえば、もちをのみこむときは気道ではなく食道の方に行くように、気道の入り口を、のどの蓋がパッと塞ぎます。
ところが高齢になって、のどの筋力が衰えると、フタの反射運動も鈍りやすく、もちが誤って気道の方に入りこみ(誤嚥)、最悪の場合、窒息死に至るのです。
もちのほか、肉やパンも誤嚥の原因になりやすいので、小さく切ったり、ちぎったりして食べてください。
また、高齢者に多い死因「肺炎」の大部分は「誤嚥性肺炎」です。飲食物や唾液、胃液などが誤って気道に入り、一緒に細菌も吸いこんでしまうことで起きます。
風呂カラオケは、この「のどのフタ」の強化トレーニングとしても最適です。