岡田将生が選んだ1冊は?「ここまで心血を注げるものに出会えるなんてうらやましい」
公開日:2024/3/13
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年4月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、岡田将生さん。
(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)
紙のページをめくる手触りが好きという岡田さんは、しばしば書店を訪れ心惹かれる一冊を探す。昨年、そうして出会ったのが『エヴァーグリーン・ゲーム』だった。
「Netflixの『クイーンズ・ギャンビット』がすごく好きで、ああいうドラマに出てみたいと思っていたんです。それもあってチェスがテーマのこの小説を手に取ったら、もう虜になって」
岡田さんの心を捉えたのは、全身全霊をかけてチェスに向き合うキャラクターたちの姿だった。
「ずるいと思ってしまいました。ここまで心血を注げるものに出会えるなんてうらやましい」
同時に、彼らは岡田さん自身とも重なる。
「少年少女の頃の出会いによって、一気にその人の人生が花開く。僕も10代の多感な時期に演技の世界に入ることができました。それで今の僕があります。だから、彼らの生き方には僕も共感できます」
物語の締め括りもお気に入りだという。
「幸福なエンディングに、泣いてしまいますよね。昔はバッドエンドに惹かれたんです。でも最近の様々なニュースを見て、映画やドラマだけでも希望のあるお話を届けたいと思うようになりました」
岡田さんは今、主演映画『ゴールド・ボーイ』の公開を控える。岡田さんが演じたのは欲望に駆られた殺人犯・東昇。義父母の殺害を朝陽、夏月、浩という子どもたちに目撃され、彼らと先の見えない不穏な駆け引きを展開する。
「この物語の主人公は、子どもたちだと思うんです。タイトルの通り、彼らに輝いてほしかった。僕自身、彼らの将来にとても期待していて。何より、映画の現場を好きになってくれたらいいなと。僕も10代の頃は、たくさんの先輩に見守っていただいていました。今回僕にもそのターンが回ってきたんだと思い、そういう意味でも、いつものようにがむしゃらにではなく、少し俯瞰的にこの作品と接していたと思います」
本作はメッセージ性を強く持つと岡田さんは言う。
「東昇は朝陽をなぜすぐに殺さなかったのか、そこを考えると非常に面白い。育った環境、家庭の問題、貧困など明確な要素で説明できるものではないと思います。この映画を観終わった後に、少しでも皆さんに考えていただけたらいいなと思いながら、僕は東昇という役を作りました」
ヘアメイク:小林麗子 スタイリング:大石裕介 衣装協力:ザ・リラクス(TEL03-6433-5121)
映画『ゴールド・ボーイ』
原作:紫金陳、小説『坏小孩』(悪童たち)、ドラマ『隠秘的角落』(バッド・キッズ) 監督:金子修介 出演:岡田将生、黒木 華、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志、松井玲奈、北村一輝、江口洋介 配給:東京テアトル/チームジョイ 3月8日(⾦)公開 ●実業家の婿養子・東昇は、義父母を崖から突き落とした。完全犯罪のはずだったが、朝陽たち3人の少年に目撃されていた。朝陽は、東昇を脅迫して大金を得ようと画策する。殺人犯と少年たちの駆け引きの結末とは……。 (c)2024 GOLD BOY