世界最初の紙幣、紙幣の起源といわれるものが作られた国は? /億万長者も知らない!? お金のびっくり事典⑤
公開日:2024/3/17
『億万長者も知らない!? お金のびっくり事典』(植村峻、中島真志、 二橋瑛夫:監修、 中村浩訳:文、うのき:絵/ポプラ社)第1回【全5回】
2024年7月の新札切り替えを前に、「お金」に注目が集まっています。また、物価の高騰や投資が話題になったり、さまざまな形式のキャッシュレス決済が次々に登場するなど、「お金」にまつわる話題は尽きません。『億万長者も知らない!? お金のびっくり事典』は、そんな「お金」について楽しく考えられるきっかけとなる雑学事典です。楽しいイラストと、昔のお金や世界のお金の写真をふんだんに掲載。みんなで楽しく「お金」雑学を学びましょう!
お札の起源については、いろんな説があるけれど、中国の宋(960~1279年)で、今から約1000年前につくられた「交子(〈こうし〉とも読む)」というお札が、世界最初のお札といわれているんだ。残念ながら、今も残っている交子はない。
交子は、初めは商人たちが「金銭を預かった」ことを証明する「手形」だったんだ。鉄や銅でつくられた硬貨が使われていたんだけど、高額の買い物のときは重たくて持ち運びに不便だったので、手形で売り買いをするようになったといわれているんだよ。
やがて同じ役割の手形を国が発行するようになって、公的なお金であるお札の役割をするようになったんだよ。
紙や印刷が中国で発明されたから、世界で最初のお札ができたんだね。
ドイツで1914〜1923年に発行された「ノートゲルト」は、世界最小のお札といわれている。
第一次世界大戦(1914~1918年)に敗れたドイツは、中央銀行でお金を印刷・供給できなくなり、地方の役所や民間会社などがデザインしたお札「ノートゲルト」を発行した。
変わった図柄や、大きさも材料も異なる何百種類ものノートゲルトが発行され、そのなかに上の写真のようなノートゲルトがあった。100ペニッヒのお札で、切り取ると1ペニッヒ、2ペニッヒ、97ペニッヒのお札として使えた。切り取った1ペニッヒや2ペニッヒの大きさは縦横2.7センチで、世界最小のお札といわれている。
ノートゲルトは、お札というより、地域クーポンの一種という考えもある。
ロマノフ家が皇帝として治めたロシア帝国で、1915年から切手そっくりのお札が発行された。
当時のロシアでは金属が不足していて、新しいお札のための版がつくれなかった。そこで、1913年に発行された「ロマノフ王朝100周年記念切手」の版を使ってお札をつくったんだ。
このお札は切手よりも厚い紙でつくられて、裏面にのりもなく、「お金として使える」という注意書きを印刷して発行された。それでも、切手として郵便物に貼って使う人がいたそうだよ。
この切手型のお札の大きさは、縦3センチ、横2.4センチ。119ページで紹介した「ノートゲルト」は、せまい地域限定のお札だったので、政府発行のこの切手型のお札が世界最小のお札だという考え方もあるよ。