“もしトラ”はあり得る?“知の巨人”佐藤優が『天才たちのインテリジェンス』で警鐘する世界情勢の変化と、各界の識者による12の対話

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公開日:2024/3/12

天才たちのインテリジェンス
天才たちのインテリジェンス』(佐藤優/ポプラ社)

 2019年末より発生した新型コロナウイルス感染症の流行や2022年から今もなお続くロシアによるウクライナ侵攻など、まさに世界中が激動の年を迎えている今。もちろん日本も例外ではなく、政権への不信感や物価高といった問題で先々に不安を抱えている人も少なくはないだろう。

 そんなグラついた世界を生き抜くためには、一体何が必要なのか――。その手がかりとして紹介したいのが、2024年3月6日(水)に発売された書籍『天才たちのインテリジェンス』だ。

 同書を執筆した佐藤優は、外務省出身で現在は主に作家として活動する人物。同省の主任分析官などを歴任してきた経験を活かして数々の著作を世に送り出してきた。また彼は多い時で月に500冊もの本を読んでいるそうで、そこから培った膨大な知識量から、現代における“知の巨人”として知られている。

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 そんな佐藤が今回手掛けた『天才たちのインテリジェンス』は、フリーマガジン『FILT』に掲載された各界をリードする識者たちとの対談がまとめられた1冊。政治や経済、哲学や文化などの分野で活躍する第一人者の主義主張が全12章に渡って対話形式で綴られている。

 たとえば、第1章には政治学者・白井聡氏が登場。ここでは2018年に行われた対談が掲載されており、当時アメリカ大統領だったドナルド・トランプの登場による対米関係をテーマとした議論が交わされている。

 すでにトランプは大統領の座を退いているため古い情報のように思われるが、実を言うと「はじめに」の項で佐藤は「2024年は激動の年になる」とした上で、11月に行われる大統領選挙にてトランプが再選する可能性について触れている。今のところ「if」の域を出ない話だが、それを踏まえて第1章を読めば先々の世界情勢を見通す手がかりになるだろう。

 ほかにも各分野の学者や研究者が登場する一方、ある意味で異質な存在感を放っているのが第2章に登場する『闇金ウシジマくん』の作者・真鍋昌平だ。なぜ「闇金」をテーマにした作品を描こうと思ったのか、そして執筆に際して行った取材の裏話や真鍋氏の「金」にまつわる経験談など、興味深い内容が綴られている。

 そうした天才たちの視点が佐藤との対談を通して語られる同書。さっそく読み終えた人からは、「俗に天才と呼ばれる人たちの考えはもちろんのこと、佐藤さんの対談力には感心しかない」「よくある自己啓発本と違って対談形式なので頭に入って来やすい」「これらの主義主張に賛同するかはともかく、知識人と呼ばれる人たちの視点が知れるのは良かった」といった感想が集まっている。

 これからの現代社会を生き抜くためにも、同書を手にとって天才たちの知見からヒントを得てみてはいかがだろうか。