モラハラ・DV・不倫のフルコースをくらった妻がじわじわと夫を追い詰める! 泥沼離婚劇を明るく描いた『離婚まで100日のプリン』が元気をくれる

マンガ

公開日:2024/3/17

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

 ゆるかわなイラストと展開のエグさで話題をさらった『マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?』(きなこす・伊東有理子/KADOKAWA)。本作は、100日間で離婚までたどり着く女性の悲喜こもごもを描いている。

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

 なによりもまず惹かれるのは、そのキャラクター造形だ。作者のきなこす先生は、フリンするプリンという語呂が気に入ってプリンを主人公に据えた、と語る。ほどよい塩梅のゆるさにニヤっとさせられるのはもちろんのこと、柔らかなタッチ×スイーツのビジュアルに癒されてしまう。

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 一見するとマスコットキャラのようなたたずまいの登場人物たちが、不倫、略奪、そして離婚…という泥沼劇を至極真面目に繰り広げてゆくというのだからギャップがすごい。

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

『離婚まで100日のプリン』というタイトル通り、離婚までの100日間が「離婚〇日前」というカウントダウンと共に4コマスタイルで描かれていく。

 序盤はプリ彦からプリ子へのモラハラ、DV、そして同僚との不倫発覚などが続き暗雲が立ち込める。ある意味お決まりともいえる一連の騒動も、登場人物がプリン(スイーツ)というだけで生々しさよりシュールなおもしろさが勝って、深刻になりすぎず読み進められるところがいい。

 こまかいセリフ回しや、4コママンガとしてしっかりオチをつける展開にも、きなこす先生のコメディセンスがきらりと光っている。

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

 中盤からは手に汗握る展開が続々と押し寄せる。プリ子の不在をいいことに、夫のプリ彦が不倫相手のババロアちゃんを自宅に連れ込むのだ。そしてプリ子は、苦しみながら書き上げた「離婚ノート」を手に、プリ彦へ三下り半をたたきつけるのだった。

 絶対に離婚すると分かっていても、残り日数のカウントダウンを見ながら「プリ子、がんばれ! あと〇日だ! 負けるな!」と祈ってしまうから不思議だ。それはきっと、どんなひどい目にあっても弱音を吐かず、自分が幸せでいられる道を探し続けたプリ子が輝いていたから。ド根性とユーモアに溢れる彼女のキャラクターに魅了されてしまったからだろう。

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

 離婚間近の終盤、登場人物たちの関係性が大きく変化していく。プリ彦とババロアちゃんの関係性はこじれ、プリ子は新天地で幼馴染と再会。プリ子の明るい未来を予感させながら、物語は離婚後のそれぞれを描いた2章に続いていくから目が離せない。もちろん、シタ側がきっちり不幸になる「ざまあ」な展開が待っているので楽しみに読み進めてほしい。

 2章からメインで登場するパンナコッ太君は、内面も外見も男前の人気キャラ。実は彼も不倫によって傷を負った被害者の1人だった。彼の抱える辛い過去が、物語に一層深みを与えてくれる。

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?

 どちらかといえばじっとりしがちな離婚劇において、本作のストーリーは終始カラっとしていて希望にあふれている。プリ子の友人が語った「離婚はただの卒業」という言葉。この言葉が、この作品のあり方を物語っていると思う。読めば笑顔になって勇気がもらえる、ちょっと気持ちがふさがっているときにおすすめの1冊だ。

文=ネゴト/ あまみん