まさか…!?「ランチ」「ワンコ」がどうしてもあの言葉に見えてしまう! 自由でズボラなひとりぐらし生活を描いた爆笑コミックエッセイ
公開日:2024/4/20
独身女性のなかには、自由気ままなひとりぐらし生活を楽しんでいる人もいるだろう。家に帰れば自分だけ。人目を気にせずズボラに過ごすこともOKだ。『ひとりぐらしこそ我が人生』(カマタミワ/KADOKAWA)では、洗濯前か後か分からなくなってしまった服を、においで判断する主人公のスボラな生活や、ひとりだからこそできるドケチなフェイスパックの使い方など、ひとり暮らしの女性のリアルが描かれている。
著者は、ブログ「半径3メートルのカオス」で大人気のイラストレーターのカマタミワさん。本書はひとりぐらし歴20年超えの著者を主人公にしたコミックエッセイの第4作だ。
「プロの域」「神レベル」「極まれり」と過去の3作でも赤裸々に語られている、ひとりぐらしシリーズ。第4作も生活の中で発見した「おもしろいこと」や、チャレンジしたけど失敗した「やらかしたネタ」が次々にマンガで紹介されていく。読むと「あるある」と共感できるシーンも多く、自分も主人公の友だちになったような気分で話題に引き込まれてしまう。
「知らない人から話しかけられやすい」という主人公は、なぜか個性派星人と出会う確率が高いという。「話を聞かない一方的にしゃべる近所のおばさん」との会話は、おばさんペースで話題があちこち飛びまくる。まるで別言語別次元で出会った者同士の会話のようだ。
またある時は、ひとりぐらしのキッチンではよくある1口コンロと料理の話。1口コンロで料理をする難易度の高さをコミカルに描いていている。周到にコンロの利用順を考えて、まずはあれ、次にこれ、あれをするときはこれをして、と脳内会議が忙しい。だが、その忙しさと1口コンロという限定環境は、時に大切なプロセスを忘れさせてしまうのだ。その悲劇の親近感に激しく頷く読者は多いだろう。
ズボラだけど大満足の家飲みレシピにもチャレンジする主人公の様子が本当に楽しそうだ。メニューはチーズを餃子の皮で包み揚げたものやフライドポテトなど、簡単にできるものばかり。でも、できたてだからウマい! 家飲みは「すっぴんOK」「そのまま寝ることもOK」「時間気にせずOK」などなどいいことだらけ。うだうだ幸せそうに家飲みしている主人公を見ると「確かにいいかも」と、こちらまで本気で試したくなる。おまけに1回の費用が「こんなにも安いの!?」と、びっくりな明細も掲載されている。
家飲みシリーズは第1弾では満足せず、第2弾、そして第3弾まで続く。紹介されているレシピは絶対真似したくなる超簡単なものばかり。料理もシチュエーションも、すべてが自分用であることが気楽で、ひとりぐらしバンザイなのだ。
ひとり女子の休日レジャーとして、主人公が思いついたひとり遠足。単にハイキングにでかけるだけでなく、一工夫もカマタさんらしい。小学生時代を思い出して手作りお弁当、おやつは300円以内、準備だけでもワクワクが止まらない。気分転換に遠足にでかける、そんな週末も大人には時には必要だ。ただし、帰りにはしっかりお団子を食べたりお蕎麦を食べたり、自分で自分の財布を自由に開け閉めできる大人だから出来る「大人の寄り道」もワクワクも欠かせないものだ。思わず「だよね〜」と共感しまくること必至。
改札の自動タッチに自宅の鍵を押し付けてエラー、お店の看板で見かけた「ランチ」を「ウンチ」と読み間違ったり…。都会のジャングルを生き抜くひとりぐらしに待ち受ける罠は限りない。
トラブルも笑ってやり過ごせる、たくましいおひとりさま。ズボラでありながらも、ひとりぐらしだからこそ気をつけたい栄養管理も考えているところはさすが。ズボラ飯でも、頑張るところに拍手である。
これからひとりぐらしを始める人、ひとりぐらしをもっと楽しみたい人、アラフォー女子のひとりぐらしを覗いてみたい人にぜひ読んでほしい作品である。