「話が上手い=商談が成功する」は間違い。交渉において重要な素質は別にあった?
公開日:2024/3/28
日常でもビジネスでも、何かを「交渉」しなければならない場面が誰しもありますよね。でも中には「話すのが苦手」「言葉の駆け引きは避けたい…」という人もいるはず。
『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にオススメの一冊です。本書ではあらゆる「交渉」の場面で使えるノウハウを紹介しています。
駆け引きの準備から、話の聴き方、自分の意見の伝え方、相手に花を持たせるおさめ方まで!
著者の保坂康介さんは心理カウンセラー資格をもつ弁護士。ご本人も口下手で、交渉の場では様々な苦労を経験してきたそうです。そんな著者が考え、実践し、成功を収めた交渉術を丁寧に解説していきます。
※本記事は書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました
気弱さん・口下手さんにまず最初にやってほしいこと
気弱さん・口下手さんが交渉で良い結果を得ることはできないのでしょうか?
答えは「NO」です。
決して気弱・口下手が交渉において不利になるということはありません。むしろ、気弱さん・口下手さんこそが、その特徴をうまく使うことによって、誰よりもうまく交渉をまとめることができ、自らも満足のいく交渉結果を得ることができるのです。
なぜなら、ビジネスでの交渉であれプライベートでの交渉であれ、交渉においては決して話し上手な人が成功するのではなく、聴き上手な人こそが交渉をうまくまとめることができるからです(なぜなのかは、第3章で詳しくお伝えします)。
ですから、気弱さん・口下手さんはまず、こう自分に言い聞かせてください。
「気弱でもいい」 「気弱で交渉は成功する」
「口下手でもいい」 「口下手で交渉は成功する」
このように気弱であること、口下手であることへの評価を自分の中でガラッと変えること。これがまず気弱さん・口下手さんに最初にやってほしいことです。これを徹底してやるだけでも、交渉への苦手意識は一気に薄れます。
そうはいっても、交渉のとき、「俺、口下手だからなー。どうせ交渉もグダグダになるんだろうな」とか、「私、気が弱いし。今日のお得意さんとの商談でも、先方の担当者さんのペースでまとめられちゃうんだろうな。意見言えないしなー」などと思ってしまう方もいるかと思います。
もし、ご自分に過去の体験やそれに基づくネガティブな思い込み、ネガティブな感情があるかもしれないと思ったなら、下記の「認知行動メカニズム」を思い出してください。
〈認知行動のメカニズム〉
①出来事 → ②思い込み・信念 → ③感情 → ④思考 → ⑤行動 → ⑥結果
①の「出来事」自体は変えることはできませんが、思い込みや信念、感情、思考、行動は変えられる可能性はありますよね。
・出来事に対する評価が変われば、思い込み・信念は変わってきますよね
・思い込み・信念が変われば、感情が変わってくると思いませんか
・感情が変われば、思考は変わってくるでしょう
・思考が変われば、行動も変わってきますよね
・行動が変われば、結果が変わります
つまり、過去の出来事に対する評価や思い込みや信念を変えることによって感情や行動が変わってくることがわかります。
たとえば「自分の意見を積極的に言わない両親・兄弟のもとで育った」という出来事を例にとります。この出来事に対してポジティブな評価をすると、どうなるでしょうか。
「両親や兄弟は自分の意見を不必要に相手に押しつけるような人ではなかったからこそ、周りとの人間関係がこじれるようなことがなかった」
といった具合です。
このように過去の出来事を別の角度からとらえなおし、それに対する評価や思い込み・信念を変えるための心理的アプローチを「ゲシュタルト療法」といいます。
このゲシュタルト療法によって、気弱であることや口下手であることへの思い込みや感情が変わっていき、そのうち気弱であることや口下手であることが気にならなくなってきます。
つまりは、気が弱くても、気が強くてもどちらでもよいし、口下手でも口達者でもどちらでもよくなるのです。
じつは、この本を読むこと自体が気弱であること、口下手であることへの評価を覆すゲシュタルト療法の実践になっているともいえます。
まず、気弱だったり口下手だったりすることのネガティブな感情をフラットにして、そこから交渉への苦手意識もなくしていきましょう。
ここがポイント まず自分への評価を変える