人から相談された時にやりがちなNG対応。あなたは大丈夫?

ビジネス

公開日:2024/3/31

 日常でもビジネスでも、何かを「交渉」しなければならない場面が誰しもありますよね。でも中には「話すのが苦手」「言葉の駆け引きは避けたい…」という人もいるはず。

 『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にオススメの一冊です。本書ではあらゆる「交渉」の場面で使えるノウハウを紹介しています。

 駆け引きの準備から、話の聴き方、自分の意見の伝え方、相手に花を持たせるおさめ方まで!

 著者の保坂康介さんは心理カウンセラー資格をもつ弁護士。ご本人も口下手で、交渉の場では様々な苦労を経験してきたそうです。そんな著者が考え、実践し、成功を収めた交渉術を丁寧に解説していきます。

※本記事は書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました

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心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術
『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)

相手の話を正そうとしてはいけない

 職場やプライベートの知人に、こんな方はいませんか?

 誰かから悩み相談、あるいは日常での出来事の報告を受けたりしたとき、頼まれてもいないのに相談者の間違いや勘違いを指摘して、自分が正しいと思うことを伝えたり、やたらとアドバイスしてくる人が。

 僕は20代の頃、東京都内のカフェバーでバーテンダーのアルバイトをしていました。そこではいろいろな人間模様を垣間見ることができ、とてもよい経験をさせてもらいました。

 カフェバーでは、馴染みのお客さんや、常連さんが連れてきたお友達等がカウンターに座って、お酒を飲みながら話をしています。

 常連さんはみんな仕事帰りに一杯引っかけて帰るのですが、お互い毎日のように顔を合わせています。今日の出来事を話したり、テレビから流れてくるニュースが話題になったり。

 その常連さんの中に、何かにつけて別のお客さんの話を聞いては「いや、それはおかしいよ。本当は△△なんだよ」とか、「君は◯◯だから、失敗するんだよ。そうじゃなくて□□しないとだめだよ」みたいにお説教にも近いアドバイスや返答をしている方がいました。それもほぼ毎日(笑)。案の定、相手のお客さんからは煙たがられていました。

 こうしたことをする人は、相手のために良かれと思って指摘をしたりアドバイスをしているのだと思いますが、じつは相手のことを思っているのではなく、単に自分が相手の役に立ったという満足感を得たいだけだったり、場合によっては相手よりも少し上の立場に立ちたいと思っているに過ぎなかったりします。

 ちょっと言い方が悪いですが、相手の方にとってはありがた迷惑となっていることも多いのです。

 話している人は自分の話を聴いてほしい、そういう自分を肯定してほしいと思っているのに、そこを無視して単にアドバイスや指摘をしたりすると、自分のことをわかってくれようとしていないと思ってしまうのです。

 では、指摘やアドバイスをしたあとで、相手のことを認めればいいのでしょうか?

 そんな簡単な話ではありません。一度、自分が受け入れてもらっていないと思ってしまうと、リカバリーには時間がかかります。あとで相手を肯定するような言葉がけをしても、相手はあなたの言うことが耳に入ってこないものなのです。

 だから、最初が肝心なんです。

 人から承認されたい、人から肯定されたいというのは人間の自然的・本能的欲求なので、これは誰もが持っている欲求です。人は、自分の話を聴いてもらえ、認めてもらえたら嬉しいですし、心は満たされます。

 交渉のときも同じことがいえます。

 相手の話していることを正そうとしたり、やたらとアドバイスしたりするのは、逆効果です。

 自分の中でのマイルール、あるいは知識・経験、正義感を交渉相手に押しつけるような言い方をしてしまうと、相手はあなたに対してネガティブな印象を持つ可能性が高くなります。そんな素振りはあなたには見せないかもしれませんが。交渉相手はあなたに肯定されること、尊重されることを望んでいるのです。

ここがポイント 最初から相手を肯定する

サムネイル画像提供:PIXTA
<第5回に続く>

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