会話が途切れて沈黙したとき「何か話さなきゃ」はNG。そこには恐ろしい落とし穴が
公開日:2024/4/2
日常でもビジネスでも、何かを「交渉」しなければならない場面が誰しもありますよね。でも中には「話すのが苦手」「言葉の駆け引きは避けたい…」という人もいるはず。
『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にオススメの一冊です。本書ではあらゆる「交渉」の場面で使えるノウハウを紹介しています。
駆け引きの準備から、話の聴き方、自分の意見の伝え方、相手に花を持たせるおさめ方まで!
著者の保坂康介さんは心理カウンセラー資格をもつ弁護士。ご本人も口下手で、交渉の場では様々な苦労を経験してきたそうです。そんな著者が考え、実践し、成功を収めた交渉術を丁寧に解説していきます。
※本記事は書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました
沈黙であなたの評価は下がらない
沈黙を怖がる必要はない
普段の会話でも、いままで活発に話して盛り上がっていたのに急に沈黙の時間が訪れたりすることがありますよね。
交渉のときも同じようなことは起こります。
お互いに話したいこと、伝えたいことをひと通り話し合い、質問等を交わしたところで議論が停滞したときなど、話が途切れて沈黙してしまうことがあります。
ちょっと気まずい雰囲気になったりして、「何か話さなくちゃ」と、頭をフル回転させて話題を探したり、新しい視点を探ったりしてしまいます。
そんなとき、沈黙を恐れて何か話さなくてはと、自分の思っていることと真逆のことを伝えてしまったらどうでしょうか? 真意が相手に伝わらず、気分を害してしまうかもしれませんし、こちらにとって不利な内容として交渉相手に理解されてしまうことだってあり得ます。
後から訂正しても、交渉相手は「あの時こう言っていたのに」と、こちらの言動に対し不信感を抱いてしまい、その後の交渉がスムーズに進まなくなるかもしれません。
そもそも、沈黙に耐えられない状況にはどんなケースがあるでしょうか?
それは、人との関係性の中で生み出されるものです。例えば、交渉相手がとても物静かな人で、あまり話さず、でもじっとこちらを見ているような人であるときなど。こんな人が相手だと、沈黙が訪れると「こちらから何か話さなくては」と思ってしまうのも無理からぬ状況です。こうしたとき、「何か話さないと、できないやつだと思われるんじゃないか」とか、「こちらから話すのが社会常識なのかな」などと不安に思ったりしませんか?
そして、余計なことをたくさんしゃべってしまったり、思ってもいないことを言ってしまったりするのです。
また、自分の後ろにいる先輩や上司を意識している場合もありますね。商談や社内会議などで、自分の仕事ぶりを先輩や上司に評価してもらいたいと思ったり、交渉がうまくないと思われたくない、などと考えたりするときです。
そう思うあまり、沈黙を生まないように話し出して余計なことをしゃべったり、思ってもいないことを口にしてしまうのです。
こんなふうに思ってしまうのは、「沈黙=コミュニケーション能力がない」といった、沈黙に対するネガティブなイメージがあるからにほかなりません。〝コミュ障〟の象徴であるかのように思っている人もいるかもしれません。
でも、沈黙は以下のようにメリットがたくさんあるのです。
・落ち着いて冷静な人に見える
・知性のある人に見える
・相手に「こっちが何か間違っているのかな」と思わせることができる
・相手が先に話してくれるようになる
・この人何を考えているのかなと相手が勝手に不安になり、いろいろ提示してくれる
・こちらからボロを出さずに済む
・相手方からたくさんの情報を引き出すことができる
などなど。
これらは、交渉においては本当に強みになります。沈黙を活用しない手はありません。
もし、それでも沈黙に対するネガティブなイメージがぬぐえない人は、試しにこう唱えてみてください。
「口下手な自分には価値がある」
「交渉がまとまろうが、失敗しようが、自分は最高のビジネスパーソンだ」
話し合いが止まって沈黙が訪れたからといって、あなたの評価が下がるわけではありません。むしろ余計なことを話してしまったほうが評価は下がる可能性が高くなります。気弱さん・口下手さんにとっては、武器の1つであると思うぐらいでちょうどいいのです。
ここがポイント あえて「沈黙」を武器にしよう
<続きは本書でお楽しみください>