中華料理の油分の多さを解決するレシピ本。少量の油で美味しい中華料理をたくさん食べたい人は必見の『太らない中華』
公開日:2024/4/6
『太らない中華』(毎日中華/マイナビ出版)という、何とも頼もしいタイトルのレシピ本を発見した。
中華料理は美味しい。毎日でも食べたい。でも、美味しい中華はしっかり油を使うものが多く、ネットでレシピを探しても油分の多さで尻込みしてしまう……。そんな悩みを抱えている中華好きには、非常に興味を引くタイトルだろう。なお著者はチャンネル登録者数30万人超のYouTubeチャンネル『毎日中華』の運営者だ。
そこで本稿では、実際に『太らない中華』のレシピで作ってみながら、その内容をレビューしていく。
少量の油でも激ウマな「無限なす」
まず本書のレシピで「これは今後も我が家の定番になること間違いなし!」と感じたのが「無限なす」だ。
なすというと、油をたっぷり使うイメージがある食材の代表格。炒めると、みるみる油を内部に吸い込んでいき、油を足していると気づけば超こってりに……となりがちだ。
一方、本書の「無限なす」のレシピは、なすを縦半分に切った後、ヘタの近く2~3cmを残して縦1cm幅に切れ目を入れていくのがポイント。そのため少なめの油でも中まで柔らかく焼くことができ、最後に水分多めの合わせ調味料を加えて煮込むので、仕上がりはトロットロになるのだ。
味付けは豆板醤やオイスターソースをしっかり使った本格派のもの。油少なめで炒めているのに、これがメチャクチャご飯の進む甘辛い味になっていて、おうち中華なのに圧倒的な満足感があった!
鶏むね肉でも抜群の満足感の棒々鶏
お次は「鶏むね肉の棒々鶏(バンバンジー)」だ。棒々鶏は普通はもも肉を使うが、こちらはレシピ名にもあるようにむね肉を使用。フォークで数か所に穴をあけて煮ることで、柔らかな食感を実現している。
レシピ通りに作って食べてみると、ヘルシーなむね肉にもかかわらず、かなりの満足感があった! ポイントは、白ねりごまやごま油を使った濃厚なタレ。奥さんも「お店みたい!」と喜ぶ本格派な味わいで、むね肉の料理でもメチャクチャお箸が進んでしまった。
ちくわともやしの炒めものは安さとヘルシーさを両立!
ほか、普通は油を多く使いがちな炒めものも何品か作ってみた。
非常に簡単で美味しかったのが、「にらとひき肉の炒めもの」。食材は豚ひき肉とニラのみ。味付けは醤油、酒、オイスターソースのみで、使う油は2人前で小さじ1と非常に少ない。
「ニンニクもショウガも、中華だしも使わないでいいの?」と思ったが、これが非常に美味しかった。調味料が厳選されて余計なものが入っていないぶん、癖のない凛とした味わいになっていて、これは本当に毎日でも食べられそうだ。
発見だったのは「もやしとちくわの炒めもの」。もやしをベースにした炒めものは中華の定番だが、このレシピでは細切りにしたちくわが入る。ニンニクと唐辛子を先に炒めて香りを移した後、ちくわ→もやし→醤油、オイスターソースの順に追加し、炒める時間は合計2分弱と非常に短い。
……と非常に簡単なレシピなのだが、これが抜群に美味しい。ニンニクと唐辛子の香りが移った香ばしいちくわが新発見の美味しさで、もやしだけの炒めものと比べると食べごたえは何倍にもアップ。ヘルシーなうえ、1食150円以下でも作れる安さなので、こちらも定番料理としてリピートして作ることになりそうだ。
そのほか、カロリーハーフのマヨネーズを使ったエビマヨなど、本書には低カロリーかつ激ウマなレシピが多数あった。
どのレシピもシンプルながら、調味料の配合がしっかり考えられていて、油少なめでもしっかり美味しくなるところに、著者のたしかな実力を感じた。毎日食べられるお家中華を学びたい人には非常にオススメの1冊だ。
文=古澤誠一郎