他の赤ちゃんと自分の子を比べてしまう。周りの目が気になる… 子育て中に何度も読み返したい一冊

マンガ

公開日:2024/5/1

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 子どもを育てている人なら誰しも「強く言いすぎてしまったな」と反省したことがあるのではないでしょうか。私も現在5歳と7歳の男子を子育て中。例えば夫にイライラしている時に子どもが何かしでかすと、つい必要以上に声を荒らげてしまったりと、子どもが寝てからひとりで反省することもしばしば。そんな時心を穏やかにしてくれるのが『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい! 親子のコミュニケーション、試行錯誤中!』(さざなみ/KADOKAWA)。著者のさざなみさんはSNSで自身の子育て中に気づいたことなどをマンガにしています。

 本書はさざなみさんの長女が4か月になったところからスタート。検診ではじめてたくさんの赤ちゃんを見たさざなみさんは、歯磨き指導の時にぐずってしまった長女をあやすため席を立ちながら、「他の子はおとなしいなあ…」と思ってしまいます。

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「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 もちろんただタイミングの問題なのですが、初めての育児、他の赤ちゃんと比べて自分の子どもに劣っている部分があるのではないかと気になってしまうもの。その時のさざなみさんの気持ちが痛いほどわかります。そして今度は隣に寝転がる赤ちゃんが寝がえりしたのを見て、ちょっとうらやましい気持ちに。ついつい視線をそちらに向けてしまいます。すると隣のお母さんから「蒙古斑が小さくていいですね!」と意外な一言が。

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 そのお母さんは自分の子どもの蒙古斑が広範囲なことを気にしていて、ついさざなみさんの長女を見ていたのです。お互い相手はまったく気にしていなかったことを気にしていたことに気づき、ふたりはくすっと笑ってしまいます。

 本書にはこのようなほっこりエピソードが多数。特によく描かれているのは人々の優しさです。例えば夜泣きがひどくてほぼ眠れない日々が続く中、さざなみさんはふらっと早朝散歩に。自分はすっぴん、子どもはパジャマという出で立ちで喫茶店に寄ると、お客さんから声をかけられます。

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 てっきり母親としての行動を責められるかと思いきや、意外な温かい一言。育児中は誰かと会話することもままならず、狭い世界に子どもとふたりきりで閉じ込められたような気持ちになるもの。そんな時私も思わぬ人から温かい言葉をかけてもらったことがあり、読みながらその時のことを思い出しました。

 もうひとつ印象的なのが、さざなみさんの子どもに対する接し方です。例えば長女が何かしてもらった時「ありがとう」と言わないことに悩んださざなみさん。「『ありがとう』って言って」と言えば長女は言うけれど、それは反射的な行動であって、感謝の気持ちを言葉にしていることにはならないのではないか?とさざなみさんは考えます。そして「ありがとう」をなぜ伝えるのか、まだ2歳の長女に話すのです。

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 私だったら「ありがとうは?」で済ませてしまいそうな場面。お子さんを信頼し寄り添うさざなみさんの姿が印象的でした。

 また同じく長女が2歳の頃、なぜか「褒めると泣く」ことに気づいたさざなみさん。

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!

 実母のアドバイスを受けながらも、長女をしっかり観察し、「具体的に褒める」「過程を褒める」など独自の褒めルールを考えていきます。自分の子どもをしっかり観察し、子どもに寄り添った行動をする。大切なことですが、目まぐるしく過ぎる日々の中で子どもをじっくり見るのはなかなか難しいことも。また「自分の子どもだから、何を考えているかだいたいわかる」と思い込んで小さなサインを見落としていることもしばしば。「もっとしっかり子どものことを見てあげないとな」と改めて感じました。

 その他にも自分の小さかった頃を思い出し、叱る時のルールを決めているというお話など実用できそうなエピソードから、子どもたちの小さかった頃に思いを馳せる、こちらの涙腺が緩んでしまうエピソードまで、さざなみさんのお子さんへの愛が伝わるマンガばかり。気づきを得たり、子どもへの愛を再確認したり。ママ友のお話を聞いているような気持ちになるように寄り添い合える、素敵な一冊です。

文=原智香

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