「世界一」になった栗山英樹が強運を掴んだ理由。大谷翔平の二刀流も実現させた、開運のメソッドとは?
PR 更新日:2024/4/22
昨年の春、監督として侍ジャパンを率いて、日本中を熱狂させる優勝劇をみせてくれた栗山英樹氏。WBCで大谷翔平を漫画以上の物語の主人公にして、有終の美を飾った栗山氏が、いかにして強運を掴み取ったかの真髄を明かした新著『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』(講談社)を上梓した。
大変な読書家でもあるという栗山氏。同書でも「本からの学びがなかったら、僕は壊れていたかもしれない」と明かす。文字どおり、寸暇を惜しんでは、先人の知恵が詰まった本を読むようにしているという。その学びに加え、試行錯誤や苦労を重ねながら大切にしてきた信条が「信じ切る」ことだ。
信じ切るとは、「信じている、の一歩先にあるもの。どこまで本気で自分が信じられるか」であると栗山氏は説く。それは「なりたい」と「なる」にも似ていて、人は「なりたい」だけでは変われないのだと。「なる」と自分が信じ切ることで、目標に向かうための意識や行動が変わり、毎日が変わってくるからだ。
野球選手でなくとも誰にでも通じる、いわばセルフイメージの構築だ。日本人はとかく「できるか、できないか」「結果が出るか出ないか」の話をしたがる。しかし、そんなことは関係ないと栗山氏は言い切る。「最初から、できるかできないかを考えていたら、何も前に進まない」「やるべきことをやるだけ」だと。
その最たる例が、他でもない大谷翔平の「二刀流」だろう。あれほどの賛否両論を巻き起こした「二刀流」を、栗山氏は最初からみじんも疑うことなく、信じ切ったと明かす。また、大谷がこれほど人々を魅了するのは、その人間力も類稀なレベルに達しているからだろう。
今、まさにフィールド内外で世界的大スターとなった大谷だが、本書を読むと、栗山氏はその道筋と礎を築く大きな役割を担っていたことがよくわかる。同氏は「野球の神様に導かれた」と語るが、移住先の栗山町との縁にはじまり、栗の樹ファームと呼ばれる少年野球場の設立、キャスターとして100回以上渡米して取材した経験、北海道日本ハムファイターズの監督就任の経緯、チーム状態による大谷の起用法など、すべてに意味があって、二刀流の大谷誕生、そしてWBC優勝劇にもつながって、まさに運命的とも言える数奇で壮大な物語となっているのだ。
あの大谷だからという話だけではない。むしろ、栗山氏自身が「特別な野球選手ではなかった」ものの、プロ野球球団と日本代表の監督となり、世界一になれたのだから、驚くような未来は誰にでも待ち構えていて、誰もが「信じ切る」ことの大切さを思い出してほしいと願う。
みんながスーパースターになる必要はない。栗山氏は「生きているだけですごいことだ」と子どもたちにも説くのだという。そのうえで同書には、そんな驚くような未来や運をたぐり寄せるためのメソッドも紹介されている。そして、それらの根本は先人の教えという。
昔、おばあちゃんが言っていたような「嘘をつかない」「人を思いやる」「苦しくなっても、誰かのために頑張る」でいい。すごくシンプルな、人間として当たり前のことです。これをみんなが守ったら、きっとみんながもっと前に進めると思うのです。
栗山氏はまた、「人の人生ほど、勉強になるものはない」との学びも説いているが、本書を読むと同氏の人生ほど、勉強になるものもない。栗山氏の言うように「誰かのためになることこそ、人が生きるということ」で、より良い世の中にする礎なのだ。野球好きでなくとも勇気がもらえる一冊である。
文=松山ようこ