第10回「ハイキュー!!」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

マンガ

更新日:2024/10/21

鈴原希実

私には小さい頃から憧れていたことがありました。

それは「アイドル」という存在です。

テレビに映る彼女たちは、お姫様のようでそれはそれはキラキラして見えて。
小さい頃の私は「こんな風にキラキラした人になりたい!」と一瞬で心惹かれてしまいました。

 

でも、心惹かれた後すぐに「きっと私には無理だ。」という感情も同時に湧き上がってきました。

それから数年後、一度だけアイドルのオーディションに応募しようとしたことがあります。

でも、応募用紙を書く手はいくら時間が経っても動きませんでした。

なぜ私は私なんだろう。
もっと違う私だったなら、この夢を諦めずに済んだのだろうか。

そんなことを思いながら結局応募用紙には一文字も書けず。
涙の跡だけが用紙に浮かんでいて。
それを見るのが辛くて、すぐに私はその用紙を丸めて捨ててしまいました。

憧れているものと、現実の自分とのギャップ。
それを受け止めて尚、夢に向かって突き進んで行くというのはとても難しいことで。

それが出来る人は本当に強いなと心から思うのです。

今日紹介する漫画は、そんな夢と現実のギャップに揺れ動きながらも成長していく等身大の青春を描いた作品「ハイキュー!!」です。

バレーボールを題材とした漫画「ハイキュー!!」は、とにかく全ての描写がリアル。
バレーボールの技や、勝ち負けの描写などで非現実的だなと感じる部分がかなり少ないのが魅力のひとつです。

そして、もうひとつの魅力が、登場人物の個性。

今回ご紹介するのは「日向翔陽」です。

日向は身長が周りよりも低めだったため、MB(ミドルブロッカー)という日向のやりたいポジションにつくのは難しいと言われていました。

ですが、持ち前の明るさとジャンプ力で逆境を跳ね返していきます。
対戦相手に2mの選手が出てくることもあったのですが、そんな時でも怯むことなくジャンプ力で対抗する姿に勇気づけられます。

 

そしてもう一人。紹介するのは「山口忠」

彼は日向と同じ学年で、新一年生として入部してきたのですが、他の一年生が軒並みスタメン入りしていく中、自分だけスタメンに選ばれず。

一度は落胆した山口ですが、自分もチームに貢献したいと思いサーブを猛特訓。

そして迎えた初めてのピンチサーバーで、山口は怖気付いてしまいます。
そこで特訓したジャンプフローターサーブではなく、普通のサーブに変えてしまうんです。

そこでコーチにも落胆されてしまい、何より自分自身に一番腹の立った山口は「もう一度チャンスが欲しい」とコーチに直接伝えに行きます。

そして春高の予選、「根性無し」だった山口は「元・根性無し」に生まれ変わり、今度は無事ジャンプフローターサーブを成功させました。

この二人以外にも、現実を受け止めて尚、前を向いて突き進む少年たちが様々な形で描かれているこの作品。
ぜひ手に取って頂きたいです。

私自身、冒頭の出来事から数年後。
ラストチャンスだと思って挑戦したオーディションで運良くご縁があり、夢を追い続けることができて。

今も模索しながら日々色々なことと向き合っております。
まだまだ未熟な私ですが、いつも見守ってくださる周りの方々への感謝を忘れずに。
彼らのようにもがき挑戦し続けて、いつか大きな羽を手にできるように一歩ずつ歩んでいきたいです。

鈴原希実

<第11回に続く>

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