阪田マリンエッセイ連載 第2回「大阪・日本橋」/時游性活~ネオ昭和の魅力~

文芸・カルチャー

公開日:2024/4/14

阪田マリンエッセイ連載

私は昔から収集癖がある。

ガチャガチャは全種類コンプリートするまで回すし、一つ集め出したら沢山集めたくなる。

そんな私がレコードにハマったわけで、その日からレコード集めが始まった。

いま販売している所ってあるのかな?ネットで調べると大阪の日本橋に沢山レコードショップがあったので行ってみることにした。日本橋はその時初めて訪れたが、家電製品やフィギアのお店ばかりで驚いた。レコードコンポ専門店のお店もあり、店内に入ると沢山コンポが並んでいて、超巨大スピーカーから音楽が流れていた。これは欲しい!欲しすぎる!そう思い値段を見たら80万円。。。とてもじゃないが手が届かない。いつか大富豪になったら買ってやるぞ!と決意したのを覚えている。大人になったらレコード専用部屋を作り音楽に包まれながら眠るのだ、そんな夢を思い描いた。いやぁでも自分で足を運んでレコードを買いに行くというのはなんだか本当に昭和を生きている気分だ。音楽アプリですぐに歌を聴くのではなく、足を運ぶという事に意味があるんだよなぁ。手間暇をかけるからこそ音楽がより良く聴こえる。私は今昭和を生きているの♡なんて思いながらお婆ちゃんにもらったバブルスーツのセットアップを身にまとい、今まで履いた事がなかった7センチのヒールをはき、ルンルンで歩く。DISCJJというお店に行ったのだが色んなレコードがよりどりみどり、100円コーナーというものもあり当時中学生でお小遣い制だった私からすればまさに最高の宝の場所だった。まだ当時の私は昭和の歌といえばあの日聞いたチェッカーズの曲しか知らないので、このアーティストのこの曲のレコードが欲しい!という概念は無かったがとにかく色々な昭和の歌をレコードで聴いてみたかったので、ジャケット買いをする事にした。このジャケット可愛いなぁと思うものをカゴに入れまくった。だって100円だもの。状態がいいものはAと書かれていて少し高い。悪いものはCと書かれていて100円。ジャケットが汚れていたり帯がなかったりする。けどお小遣い制の私はそんな事気にしない。聴ければそれで幸せだった。そんなこんなで1時間くらい滞在していたのだが、昭和アイドルレコードコーナーに私と同い年くらいの女の子がいて、私と同じように夢中になってレコードを探していた。

同じ世代くらいの子が!!レコードを探している!!嬉しい!!私以外にもレコードが好きな子が居たのだ!思わず声をかけてしまった

『昭和アイドルが好きなんですか?』と聞くと

『親の影響でハマったんです、今必死でディグってます』と返答が来た。

『ディグるってどういう意味ですか?』

『レコードを掘り出す って意味だよ笑』

と教えてもらった。ほぉー、カッコいい!レコードを探す事をディグる というのか!

また一つ新しい事を知ったし、同世代の昭和好きとお話ができて、とてもハッピーな気持ちだ。私が知らないだけで、昭和好きの同世代ってのはこの世にもっと沢山居るのかもしれないな。初めてのレコードショップデビューは刺激的だった。ジャケ買いでシングルとLP10枚ほど購入しルンルンで帰宅した。

山口百恵さん、矢沢永吉さん、シャネルズ、キョンキョン、などを購入したのを覚えている。なんだろうこの満足感、CDのジャケットは小さくて所有物感が薄いがレコードのジャケット、特にLPは所有物感がすざまじいし、部屋に飾ると存在感に溢れている。

その日の夜は購入したレコードを何度も聴きいた。1番よく覚えているのは矢沢永吉さんのウイスキーコークという歌。矢沢永吉さんの歌声は色っぽくて、歌詞も男らしい歌詞が多い。

いつかコンサートに行ってみたいな、と思い調べると、矢沢永吉さんのファン達は白いスーツを着て白ハットをかぶりコンサートに参戦している。これが矢沢永吉さんのコンサートへ行く時の正装らしい笑 ダンディーな男性達がカッコよく着こなしていた。

『私がディグったレコード、センスいいな〜』と心で呟きながら、LPを抱き抱えて寝た。

<第3回に続く>