おしゃれとは「個の魅力」フォロワー29万人の人気イラストレーターが、街ゆく人を描く理由
公開日:2024/4/4
「街で見かけたおしゃれさん」を描くイラスト投稿がInstagramで大人気、フォロワー約30万人のイラストレーター・aya.mさん。4月3日(水)に2冊目となるイラストブック「街角おしゃれさんスケッチ ―今日から活かせるコーデの秘訣―」が発売となった。リアルなおしゃれだから日々の着こなしに生かせる、と話題のイラストについて、そしておしゃれのコツについて話を聞いた。
■元々自分ひとりで楽しんでいた趣味
――aya.mさんがInstagramで「街で見かけたおしゃれさん」を描き始めたきっかけを教えてください。
aya.m:私は学生時代からファッション誌が大好きで、月に3〜4冊買っていたこともあります。ある日、「自分の好みだけで埋め尽くされた一冊を作りたい!」と思い立ち、買いためた雑誌から好きなコーデを切り抜いてスクラップし始めました。見返すと自分の好きなものばかりが目に入ってくるので、心がワクワクする趣味の一つになったんです。4冊、5冊とスクラップブックがたまってきたころ、「せっかくなら見返した時、もっと自分が楽しめる形で残しておきたいな。そうだ、絵に描いてみよう。絵で残そう」と思い立ったのが全ての始まりです。そこから雑誌だけでなく、実際に街で見かけた方も描くようになりました。
最初は完全に自分ひとりの範囲で楽しむ趣味として続けていたところ、登場したのがInstagram。とはいえ友達が始めたからアカウントを作っただけで、初めはなんてことない普通の投稿ばかりで、イラストで活動していくつもりは全くありませんでした。イラストを載せ始めたきっかけも本当にある日ふと「ちょっとイラストも載せてみよ」と思い立っただけで。なので、逆なんです。Instagramで描き始めた、ということではなくて、ずっと続けていた趣味をInstagramで公開してみた、という感じです。
――そこから長年投稿を続けられている理由は何ですか?
aya.m:今ではこんなに見てくださる人が増え、一つのコンテンツのように捉えられることが多くなりましたが、私の中ではずっと趣味の一部。自分の好きなことだから自然に続いていると思っています。仮に何かが起こってSNSがこの世から無くなったとしても、世の中に公開しないだけで、また1人で楽しむ世界に戻るだけだろうなという気持ちがあります。
でも、反応してくれる人が誰もいなかったら描くのはやめなくても、SNSに載せるのはやめていたかもしれません。楽しんでもらえているんだな、というのがみなさんの反応から目に見えて伝わるので、間違いなく原動力になっています。そもそも見てもらえていることがすごく嬉しいんですが「イラスト好きです!」などその一言で、描き手はどれだけ頑張れることか…!どの言葉もしっかり心に沁みているので、ファンの方に支えられながら続けられています。
■気に入っているポイントは「推し色」ページ
――本作は2冊目のイラストブックになりますが、刊行への想いを教えてください。
aya.m:2021年に一冊目を出させていただいて、たくさんの方が楽しんでくれて。ありがたいことに二冊目は出ないんですか?とずっと言われてたんです。私にとっては、こんな個人の趣味嗜好に寄りまくっている内容で本が出たのが、もう凄いことだなとずっと思っていて。自分のイラストが本になる、しかも書店に並ぶってとんでもないことです。あのときInstagramに絵を上げなかったら、上げたとしても見てくれる人がいなかったら、見てくれたとしてもフォローしてくれる人がいなかったら、こんな風にはなっていません。何者でもない私のイラストを世の中に押し出してくれたのは間違いなくフォローしてくださっているみなさんです。本当にありがとうございます。
私のイラストを見た人が少しでも楽しい気持ちになってくれれば、大きな変化じゃなくて良くて、ほんの少し、その人の生活にほんの少しの彩りを添えられたらいいなと思いながらSNSに絵を上げ続けているので、本作についても気持ちは全く同じです。見つけてくれた人の日々にちょっぴり癒しの時間を添えられたら嬉しいなと思います。
――今回の書籍化でこだわったポイントを教えてください。
aya.m:前作は、1ページに1人ずつ配置して文章もたっぷり、読みものとしても楽しめるような形だったのですが、今回は違う形で、イラスト集のようにしたくて。1ページに2人以上の配置にしてもらって、イラストをたくさん見られるようにしました!SNSに上げていたイラストに加えて100点以上描き下ろしたので、この本で初めて見る着こなしがたくさん入っています。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
――収録内容で特に気に入っているページはどこですか?
aya.m:本当に個人的な趣味の一つなんですが、「推し色」のページをたっぷり入れていただいたことです。私自身が推し色をまとう機会があって、この世界が大好きなんです。担当さんにご提案するときは緊張しましたが、快諾いただけてすごく嬉しかったです。推し色という表記こそしていますが、着る人がこれは推し色コーデ!と思って着たらそうだし、別に推しを意識しないでも、好きで着たい色のコーデとして着てもいい。着る人が決めることなので、自由に楽しんでもらえたらと思います。
■おしゃれとは「個々の魅力」無限の楽しみ方がある
――シンプルかつほっこりかわいいタッチが人気ですが、aya.mさんがイラストを描く上でこだわっていることは?
aya.m:美しくて無駄のない線にすごく憧れがあって。イラストって終わりがないし表現の幅も広いので、日々ずっと研究練習試行錯誤なんですが、線だけはずっと意識して描いているなぁと思います。まだまだ未熟者なので、やってみたいことがたくさんあります!しんどいことが一切ないと言えば嘘になりますが、イラストを描くことは私にとって唯一人よりちょっぴり上手くできる、心から楽しめること。同時に、しんどくても頑張れることです。描き続けられる限り、一生勉強していきたいです。
――本作にはいろいろなおしゃれテクが収録されていますが、総合的にはどんな着こなしの人に目を惹かれることが多いですか?
aya.m:「おしゃれが好きなんだろうな」とか、「おしゃれを楽しんでいるんだろうな」と感じる着こなしにときめくことが多いです。例えばデニムのロールアップの幅とか。おしゃれに興味が無かったら、そういう感じにはしないよね?スニーカーが綺麗に見える位置なんじゃ…?! ああ、この人はこだわって、この丈が素敵だから、その位置で折ってるんだ…!など、ふとした部分に、おしゃれへの「好き」の気持ちが垣間見えると嬉しくなります。そういう風にすると素敵に見えるんだ!!という新しいやり方を知れたりもするし、私にとっては街ゆく人たちがおしゃれのお手本です。
――最後に、本作のタイトルは「街角おしゃれさんスケッチ」ですが、aya.mさんにとっておしゃれとは?
aya.m:私にとっておしゃれとは、「個々の魅力」です。私は普段から人の「個」にすごく魅力を感じていて、だって世の中に同じ人間って1人もいないんですよ。凄いことだと思うんです。育ってきた環境や好み、いいなと思う色だって人それぞれ違う。おしゃれってその人の「いいな」「好き」がものすごく反映されるものだと思うんです。例えば白いTシャツ一つ挙げたとしても、着こなしは人によって違っていて、その人の感性や見てきたもの、知っているアイテム、その人が元々持つ魅力によって無限大のスタイルが生まれる。街ゆく人だけではなく、ショップのマネキンも、そのショップの店員さんが良いなと思って組んでいるものだし、雑誌に載っている着こなしはスタイリストさんの良いな、が詰まってる。どの立場でも「個」が反映されるのが興味深くて。みんな違ってみんな良い、という言葉がありますが、本当にその通りだと思っています。これからも無限大の楽しみ方があるこの世界を、できる範囲で愛でていきたいです。
また、書籍描きおろしイラストを元にaya.mさんがデザインした限定オリジナルグッズがWEB限定で受注販売中。ポストカードセット、トートバッグ&巾着セット、プラスチックタンブラーの3種となっている。ぜひ特設サイトからチェックしてみてほしい。
https://emii.photo/osharesan/