身支度の遅い子どもにはテンポの速い曲と、キッチンタイマーで解決? 元教師が教える効率の良い100個の『ずるい子育て』
公開日:2024/4/7
子育てとは、正解がわからないもの。厳しく接したほうがいいのか、子どもの自主性を信じたほうがいいのか……。日々悩みは尽きません。そこにひとつの道しるべを示してくれるのが『ずるい子育て』(親野智可等/ダイヤモンド社)。
著者である親野智可等氏は、教師経験もある教育評論家。その親野氏が言う“ずるい子育て”とは、効率の良い子育て方法のこと。世の中では「コストパフォーマンス=コスパ」「タイムパフォーマンス=タイパ」が叫ばれ、効率化が良しとされる時代。しかし子育てにおいては効率という言葉はあまり聞かれず、むしろ「愚直に子どもと向き合ってこそ」、という雰囲気も感じます。しかし抜くべきところは手を抜いて、“親子ともにラクで楽しくて、最大限の効果が上げられる方法”を実践していこうというのが本書の趣旨。
「そんな楽な方法があるなら最初からやってる!」と今思ったあなたにこそおすすめしたい、100の方法が掲載されています。見開きごとにひとつ、イラスト付きという読みやすさも魅力です。
しつけはしなくて大丈夫!? “怒らない”子育てのための方法
子育てでまず気になるのがしつけではないでしょうか。厳しくしたからといって上手くいくものでもなく。現在我が家にも小2男子がいますが、対応が難しく日々悩んでいます。
親野氏によると、そもそもどんな生き物も生きるために大人と同じような礼儀作法を身につけるもの。大半は脳が発達して我慢ができるようになれば自然と身についていくので心配はないと教えてくれます。厳しすぎるのは親への反発心が起きるなど逆効果を生む可能性も。普段から愛情をもって接し、親が手本となるように行動すれば、子どもはちゃんとしかるべき行動を取れるようになるのです。
その上で、身支度が遅い子には「早くやりなさい!」と言わず速いテンポの曲をかけてキッチンタイマーを用意するなど、怒らずに行動を変えられる方法を多数紹介。何かを買ったり準備したりする必要がない方法ばかりなので、「とりあえずやってみよう!」と気軽に試すことができるのも本書の魅力です。
子どもはみな、ほんとは勉強好き。知的好奇心を刺激するひと工夫
小学生になるともうひとつ気になるのが勉強面。宿題だけでもやってほしい、知的好奇心を身に着けてほしい、など学年や個人によって悩みはさまざまだと思いますが、本書ではあらゆる段階の子どもに向けた方法を紹介。
宿題になかなか取り掛かれない場合、問題なのは最初の一問に取り掛かるまでのハードル。「問題を一問ずつ切って渡す」「簡単な問題を付箋に書いて宿題の上に貼り、まずはそこから解かせる」など始めの一歩を手助けする工夫がいくつも登場します。
一方勉強嫌いな子については「たいていの子は入学する時は早く算数や国語がやりたい! と言う」と、子どもはみな勉強が好きになる要素を持っていると説明。「得意分野の一点突破」など、勉強が楽しいと思うきっかけを作る方法が提案されています。
ほかにも「学校生活がラクになる」「生活習慣が身につく」という日常に役立つ方法や、「地頭がよくなる」「非認知能力が育つ」という人生を生きる上で広く役立つ方法など、広いレパートリーで親子を応援。親子が日々笑顔でいるために、知っておいてほしい一冊です。
文=原智香